こんにちは、医師の中島です。
おならについての対策編、つづきです。
④下剤でオナラをムリして出さない。
前回触れたように、お腹の張りの大半は、だいたい腸管の緊張によるものです。それなのに、おならのガスが問題だと勝手に判断し、下剤(便秘薬)で便とともにおならをムリして出そうとするのはNGです。
そもそも下剤には大きく刺激性と非刺激性(機械的下剤)があります。
前者は大腸を刺激して蠕動運動を促し、排便を誘導しようとするもの。後者は水分を引き寄せて便を柔らかくしたり、有効成分自体が膨張したりして、便を機械的(物理的)に押し出そうとする狙いがあります。
いずれにしても下剤に頼りすぎると自ら排便する力が少しずつダウンし、便秘になる恐れもあります。
特に危ないのは刺激性タイプの下剤。頻繁に使っていると大腸が慣れ切ってしまい、多少の刺激では活動が促されにくくなり、結果として便秘が起こりやすくなるのです。お腹の張りが続くようなら、安易に市販の下剤に頼らず、ぜひ当院へご相談ください。
⑤多様なものを食べてオナラの多様性を保つ。
ダイバーシティ(多様性)が大事なのは、社会だけではありません。
腸内環境でも重視したいダイバーシティ。バラエティ豊かな腸内細菌が、適材適所でのびのび活躍できるのがベストな状態です。その方が変化への適応力が高く、健康を保ちやすいのです。
そこで注目したいのが、おならのダイバーシティ。おならの大半は空気だとしても、その量と臭いは腸内細菌の働きぶりを表しています。
だとしたら、おならの量や臭いはいつも同じではなく、変化があるのが理想で、それは腸内細菌の多様性を反映していると考えられます。
便のチェックは腸内環境をモニタリングする貴重なチャンスですが、同様におならのモニタリングもお忘れなく。クサいおならや、おならの量が極端に増減した状態が続いたら、食生活を見直すチャンスです。偏りを正し、多彩な食品をバランスよく食べて、おならのダイバーシティを保ちましょう。
いかがでしたか。
今回でオナラについての話題はおしまいです。
日頃のオナラの悩みにお役立ていただければ幸いです。
週の中日ですね、一息ついて後半もがんばりましょう。