こんにちは、医師の中島です。
9月も半ば過ぎですが、まだまだ暑い日々が続いていますね。日々の診療では、食欲がない、胸やけや吐き気がつづく、胃が重い、などなど胃の不調を訴える方が非常に多くいらっしゃいます。
この夏バテならぬ、「胃バテ」はなぜ起こるのでしょうか。この現象は人体の構造上、暑いときは必然的に起こるものです。
ちょっと細かい話になりますが、以下のようなメカニズムです。
ヒトの身体は常に体温調節を行っています。暑くなると体温を下げるために、「外殻」と呼ばれる皮膚の血管が拡張し、放熱を促しています。すると、外殻に流れる血液が増えるので、そのぶん内臓に流れる血液が少なくなります。加えて、大量の汗を放出することによって汗の原料である血液が減少し、ますます内臓の血流が減るのです。
これが胃の働きを低下させる原因になります。
そもそも、胃の活動はとても激しいものです。
どの臓器よりも大きく蠕動運動をし、強い胃酸も出しています。さらに、その酸から胃壁を守る粘液も分泌しなくてはなりません。血流量が減った結果、これらの働きが全体的に低下し、胃もたれや食欲不振を起こしてしまう、これが「胃バテ」の第一段階です。
ちょっと脱線しますが、夏場の便秘の一因もここにあります。大量の汗をかいて体の水分が減ると便が硬くなり、便秘になりがちです。
また、暑いのでアイスコーヒーやアイスティー、冷たいビールなどを飲みたくなりますよね。しかし、カフェインやアルコール類は利尿作用があるため、水分を摂っているつもりがかえって脱水傾向を強めてしまいます。これらは楽しみ程度ととらえ、こまめに水分やノンカフェインの飲み物を補給することが大切です。水分は塩分や糖を含んだものがお勧めですが、これは腸管で効率的に水分を吸収するためです。なお、夏場の水分補給量の目安は、食事以外で1日1.2L程度といわれています。
話を戻しますが、胃バテをさらに加速させてしまうのは食生活です。
どういったものかは次回お話しますね。
週の中日ですね、一息ついて後半も頑張っていきましょう。