乳酸菌飲料についてご存知ですか？

こんにちは、医師の中島です。

今回は「乳酸菌飲料」についてのお話です。

乳酸菌飲料と聞くと、なんとなく腸に良さそうで、◯クルトとか◯ルピスなどをイメージされる方が多いのではないでしょうか。

そもそも乳酸菌って？

「乳酸菌」とは、糖類を分解して乳酸をつくる菌の総称です。ですので、「乳酸菌」という名前の特定の菌は存在しません。乳酸をつくる菌は自然界に広く存在し、その数は数千種類もあります。

乳酸菌には「動物性」と「植物性」があり、動物性乳酸菌は、ヨーグルトやチーズをはじめとする乳製品などに含まれています。一方の植物性乳酸菌は、味噌、醤油、日本酒、納豆、漬物など、穀物や野菜など植物性のものから作る加工品などに含まれています。

乳酸菌は主に腸内に生息して腸内フローラのバランスを保つ役割を担っています。便秘や下痢の予防、免疫力の維持、さらにはアレルギー予防など、さまざまな健康効果が期待できます。

代表格であるビフィズス菌以外に、ラクトバチルス属細菌などさまざまな乳酸菌が存在し、それぞれに異なる健康効果が期待できます。

例えば主に大腸に生息する「エンテロコッカス フェカリス菌」は花粉症の症状緩和効果が期待でき、「ペディオコッカス属細菌」の中でも「ペディオコッカス・アシディラクティシ K15」は唾液中の分泌型IgA濃度を高め、感染対策に役立ちます。

ただ、忙しい日常生活の中で、食事だけで十分な乳酸菌をまかなうことは難しいことが多いですね。

そこに乳酸菌飲料を取り入れれば、効率的に乳酸菌を摂取することができるので、自分の健康状態や目的に応じて、複数の乳酸菌をバランスよく含む商品を選ぶとよいですね。

※乳酸菌飲料とは、牛乳などを発酵させてから、甘味料、香料、果汁などを加えて嗜好性を高めた飲み物で、「乳製品乳酸菌飲料」と「乳酸菌飲料」があります。無脂乳固形分（牛乳から乳脂肪分と水分を除いた成分）の量や乳酸菌の数の違いで分けられています。

まず、乳酸菌飲料を選ぶ際には、継続して飲み続けられる風味や味、低カロリー・低糖質・低脂肪・人工甘味料フリーのものを選びましょう。

また、乳酸菌飲料を摂る時は、ほかの食品と組み合わせると効果的です。特に食物繊維やオリゴ糖を含む、乳酸菌の餌となり腸内での増殖を促進する「プレバイオティクス」と呼ばれる食品との組み合わせがおすすめです。

「プレバイオティクス」を多く含む食品には、バナナやオートミール、アスパラガス、きのこ、海藻類などが挙げられます。また、キムチや納豆などの発酵食品も乳酸菌と相性がよいですね。

ただし、乳酸菌飲料に潜むワナに注意してください。乳酸菌飲料の原材料表示の最初には「砂糖」や「ぶどう糖果糖液糖」などが書かれることが多く、これは最も成分量が多いということです。

ものによっては、1本100mL程度の中に、角砂糖4個分もの糖類が含まれていることもあります。これは炭酸飲料などより多い量で、驚きですよね。

砂糖を大量に摂取すると、カロリーオーバーや高血糖になるだけでなく、分解のために大量のビタミンB群とミネラルが消費され、「ミネラル欠乏」の状態に陥ってしまい、腸内環境の悪化につながります。

乳酸菌は腸にとって有用ですが、腸内に棲みついている細菌の種類や、そのバランスは人それぞれです。無数にある乳酸菌を手当たり次第に取り込めば、必ず腸内環境が改善されるというわけではありません。

腸内環境を整えるには、自分に合った乳酸菌を「育てる」ことが肝心です。

最後に、やはり基本となる食事について、腸内細菌が働きやすい環境を整えるためには、毎日の食事に酵素や食物繊維が豊富なものを取り入れましょう。味噌、納豆などの発酵食品、キャベツ、ブロッコリー、にんじん、りんご、寒天、海藻類などがおすすめです。

また、揚げ物やラーメン、脂身の多い肉や魚、クロワッサンやケーキ、菓子パンや調理パンなど糖質や脂質の多い食べ物は消化に時間がかかり、腸の負担になるため、極力控えましょう。

いかがでしたか？

乳酸菌飲料は賢く利用すれば、効率的に腸活できるので上手く利用していきたいものですね。

週の中日ですね、一息ついて後半も頑張っていきましょう。