福岡天神内視鏡クリニックブログ

腸内細菌のために食べましょう

こんにちは、医師の中島です。

 

近年、日本人に増えてきているガンといえば、大腸ガン。2023年の部位別がん死亡数で、大腸ガンは女性で1位、男性で2位で、今後さらに増えると予想されています。

また、子供たちの間では、便秘が大きな問題になってきています。

今、私たちの腸の中で何が起きているのでしょうか。

 

私たちの健康と密接に関わる”腸内細菌”

新型コロナウイルスに振り回されたこの数年、世間では除菌や抗菌がもてはやされ、菌という菌が悪者扱いされている印象です。しかし、私たちの体には8千兆個もの常在菌が棲みついて共生関係にあり、腸内細菌はその代表格です。

ほぼ無菌状態の赤ちゃんは、産道を通ってお母さんの常在菌を受けつぎ、誕生後は口にするものや触るものなどから、さまざまな菌が体に定着していきます。生後10か月~3歳くらいまでに、どれだけの菌と接触したかで腸内細菌の生態系(腸内フローラ)が決まり、そのころたくさんの菌に触れた赤ちゃんほど高い免疫力を持つというデータがあります。そのため、過度の清潔志向はむしろ病気のもととも言えるのです。ちなみにわが家では、なるべく屋外で色々なものに触れさせ、泥んこになって遊ばせています。

 

腸内環境が乱れるとどうなるの?

腸は脳と非常に関係が深く、腸の健康状態が脳の働きに影響したり、逆に脳の健康状態が腸の働きを大きく左右したりしています。そこには腸内細菌が深く関与しています。

腸内細菌は身体の免疫システム全体の約7割に貢献していて、腸内細菌の多様性が維持されていると心身は健康に保たれます。腸内細菌は私たちの健康を支える重要な柱なのです。

そのため、腸内環境が乱れると便秘や下痢になりやすいだけでなく、腸管以外の病気にも関係するといわれています。代表的なものを挙げると、子供では肥満、喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患、自閉症など、大人では大腸ガン、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病)、うつ病、関節リウマチ、多発性硬化症などとの関連性が知られています。

 

腸内細菌のために生活を見直しましょう

”腸力”には、食べ物や生活習慣が大きく影響します。食の欧米化、過度の清潔志向、ストレス、運動不足などで、現代人の腸内環境は乱れに乱れているといわれています。特に肉食ばかりの生活は腸内フローラを単純化させるほか、近年流行りの糖質制限も、極端なやり方だと腸内細菌に悪影響を及ぼします。不適切な食事で失った腸内細菌の多様性は、食事を改善してもすぐには回復しないこともわかっています。

“腸力”は勉強と同じで「一夜にしてならず」なのです。

また、軽い風邪でも抗菌薬を希望する患者さんがおられます。風邪の大半はウイルス由来で抗菌薬が効かないうえ、抗菌薬が腸内細菌にダメージを与え、腸内環境を一気に悪化させてしまうので、必要最低限にしたいものです。

 

やっぱり日本古来の和食がいちばん

“腸力”を高める食事として理想的なのは、やはり和食です。腸内細菌の餌となる食物繊維が豊富に摂れます。そもそも日本人の主要な食物繊維源は「主食」です。特に食物繊維を多く含む穀物(玄米ご飯や雑穀入りご飯)を主食にすることをおすすめします。それに加えて私がおすすめしたいのはおから。大豆由来のタンパク質やミネラル・ビタミンなどの栄養素に加え、オリゴ糖や食物繊維などを多く含み、豊かな腸内フローラの構築にもってこいの食材です。

納豆や味噌、漬物など日本古来の植物性発酵食品も毎日継続して摂りたいものですね。

 

いかがでしたか?

毎日の食事は腸内環境を整える大切なものです。

ご家族皆さんで”腸内細菌のために”和食を食べましょう。

 

週の中日ですね、一息ついて後半もがんばっていきましょう。

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