福岡天神内視鏡クリニックブログ

人工甘味料はなぜ肥満や糖尿病の原因になるのか?

おはようございます。医師の秋山です。

 

さて、今回は人工甘味料の話をしたいと思います。

以前、YouTubeで食品添加物についての動画を上げましたが、結構な再生数でした。

食べ物は私たちの普段の生活に直結するものですから、皆さんも興味があったのではないかと思います。

 

さて、そんな食品添加物の中でも、「人工甘味料」に一番興味がある方が非常に多いみたいです。

診療中も、人工甘味料に関する質問が一番多いですね。

 

その中でも

「人工甘味料を摂り過ぎるとなんで逆に太ったり糖尿病になるのかが今いちピンとこないです」

といった質問をよく受けます。

 

そこで今回は、この質問に関してここで分かりやすく説明したいと思います。

 

人工甘味料の歴史は長く、100年以上も前から存在しているのですが、昔から、人工甘味料がなんらかの健康を損なうのではないか?という話は出ていました。

 

そして、人工甘味料が肥満や糖尿病の原因になるのではないか?と報告されたのが2014年です。

Jotham Suez, et al, “Artificial sweeteners induce glucose intolerance by altering the gut microbiota” Nature 514,181-186, 2014

これはNatureという権威ある雑誌に報告されています。

 

この報告では、人工甘味料によって腸内細菌叢が乱れ、それにより耐糖能異常を来した、という報告です。

 

そして2022年にも、人工甘味料を2週間摂取すると、腸内細菌叢が変化し、耐糖能が低下したという報告が出ています。

Jotham Suez, et al, “Personalized microbiome-driven effects of non-nutritive sweeteners on human glucose tolerance”Cell. 2022 Sep 1;185(18):3307-33238.e19

 

つまり、人工甘味料を摂ることにより、腸内環境が悪くなって肥満や糖尿病になってしまうんです。

それではなぜ人工甘味料を摂ることで腸内環境が悪くなるのでしょうか?

 

我々は糖質を摂ると、空腸で消化吸収されるのですが、人工甘味料は人工的に作られたものであり、空腸で吸収されずにそのまま大腸まで到達します。

 

大腸まで到達した人工甘味料が悪玉菌の絶好のエサとなり、悪玉菌が増え、腸の免疫バリア機能が低下し、「腸漏れ」を起こしてしまうんです。

 

「腸漏れ」を起こすと、インスリン抵抗性が上がるという報告があるのですが、これにより血糖値が上がってしまうんですね。

Saho Nishimura, et al.” Polysorbate 80-induced leaky gut impairs skeletal muscle metabolism in mice” Physiol Rep.2020 Oct;8(20):e14629. doi: 10.14814/phy2.14629.

 

そしてさらに、悪玉菌の仲間の中でも、糖などの栄養素の吸収能力が高い腸内細菌が増えることにより、さらに血糖値が上昇しやすくなって耐糖能異常をきたすのではないかと言われています。

 

以上のようなメカニズムから、人工甘味料を過度に摂取することにより肥満や糖尿病になりやすくなります。

 

つまり、人工甘味料が肥満や糖尿病の原因になるのは、腸内環境に悪影響を及ぼしているからなんです。

 

いかがでしょうか。

人工甘味料を摂り過ぎると腸内環境が悪くなってきます。これが肥満や糖尿病の原因となりますので注意しましょう。

 

福岡院は4月29日から5月6日までGW休みになりますのでよろしくお願いします。

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