こんにちは、医師の中島です。
健康維持の基本は毎日の食事であることはご存知かと思いますが、身体にいいものを単体で摂るよりも組み合わせて摂ることで、その効果が何倍にもなったり、逆に減弱してしまうことはご存知でしょうか?
そこで今回より、食材の栄養素を最大限に引き出す食べ合わせ方についてお話していきます。
まったく同じ内容の食事をしていても、その栄養素の吸収率は個々人の体内環境によって変わります。まずは栄養素を吸収できる体内環境に整えることも大切ですが、実は食べ物の組み合わせによって、栄養素の吸収率が変わり、期待できる身体への効能も大きく変わってきます。
例えば、焼き魚に大根おろしを添えて食べることがありますが、これは栄養面で理に適った食べ方です。大根に含まれるジアスターゼという消化酵素は魚のタンパク質の消化を促し、さらに大根に含まれる抗酸化栄養素のビタミンCはEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)の酸化を防いでくれます(EPA/DHA: 主に魚油に含まれるオメガ3脂肪酸で、認知症の予防や血液のサラサラ効果などがあります)
このように、食材が持つ栄養素や成分は、2つ以上の食材を組み合わせることで、相互に作用し合って栄養素の吸収率を上げたり、もう一方の栄養素の働きを助けたりしてくれます。
身体は食べて吸収されたものでつくられています。
もちろん、ストレスや喜びを感じる脳も、食べ物の影響を受けています。
一方で、現代は農薬や化学肥料の使用で水や土壌が汚染され、ミネラルが枯渇し、昔に比べると農作物に含まれる栄養素が激減しているといわれています。気づかぬうちに栄養不足に陥ってしまいがちな現代人は、生活習慣病などの身体の不調や、ストレスによるうつ病などの心の不調をも引き起こしやすい状態にあります。
より効率的な栄養補給のためには、できる限り食材が持つ栄養素を最大限引き出す”食べ合わせ”を選択していきましょう。
食べ合わせには、大きく分けて「相乗効果」「相加効果」「相殺効果」の3つがあります。
それぞれの栄養素が有効に働き、その効果が倍以上に活かされる食べ合わせ
例 ビタミンA+油
ビタミンAは油と相性が良い脂溶性ビタミンのため、油と一緒に加熱することで吸収率がアップ!
栄養素それぞれが同じような効果を持っていることで、さらにその効果を発揮する食べ合わせ
例 ビタミンC+ビタミンE
どちらも抗酸化栄養素のため、サラダなどで一緒に摂ることで抗酸化作用の効果がよりアップ!
それぞれの栄養素や成分、性質が、互いの栄養素を破壊したり、一方の吸収を妨げたりしてしまうことで効果が減ってしまう食べ合わせ
例 タンニン+鉃
ポリフェノールのタンニンが鉄分と結びつくことで、吸収を妨げてしまう。
※体に悪影響を及ぼすことはありません。
次回より具体的な食べ合わせについてお話していきます。
週の中日ですね、一息ついて後半もがんばっていきましょう。