こんにちは、医師の中島です。
今回は、ストレスや睡眠に深く関わるトリプトファンとビタミンB6についてです。
テーマ : トリプトファンとビタミンB6
目次 :
1, 心のバランスを保つ「セロトニン」
2, トリプトファンとビタミンB6
3, 「セロトニン」の増やし方
4,「トリプトファン+ビタミンB6」の理想の食べ合わせ
あらゆるストレスには脳内で働くホルモンが大きく関係しています。”幸せホルモン”としても有名なセロトニンは、ドーパミンやノルアドレナリンと並ぶ、三大神経伝達物質の一つです。
このセロトニンが”幸せホルモン”と呼ばれる理由は、ドーパミンやノルアドレナリンを制御して(イライラを抑制して)、心を落ち着かせる働きがあるからです。
⚫︎ドーパミン・・・喜びや快感をもたらし、やる気を高める。一方、過剰になると自分を制御しにくくなる。
⚫︎ノルアドレナリン・・・恐怖や驚きなどの不快感をもたらす。過剰になると攻撃的になり、不足すると無気力になる。
現代人はセロトニンが不足しやすく、セロトニンが不足すると、この2つのホルモンのコントロールが不安定になり、攻撃性が高まったり、不安やうつ・パニック症などの精神症状を引き起こすといわれています。
セロトニンをつくる原料は、タンパク質を構成する必須アミノ酸の「トリプトファン」です。しかし、体内では生成することができないため、トリプトファンが含まれる良質なタンパク質(大豆製品や青魚類、脂身の少ない肉類)から摂る必要があります。
朝食に摂取したトリプトファンは、日中は脳内でセロトニンに変化し、夜になると睡眠を促すメラトニンに変化します。
つまり、トリプトファンの不足は、メラトニン不足を招き、不眠症や睡眠の質の低下を引き起こす原因になるというわけです。
要は、トリプトファンをしっかり摂って、セロトニンをたっぷり出しておけば、夜はメラトニンに変わって熟睡に導いてくれるというわけです。
眠るのは夜のことですが、質の高い睡眠への準備は朝食からはじまっているのです。
また、トリプトファンからセロトニンを合成するときには、「ビタミンB6」や「マグネシウム」「炭水化物」などが必要で、これらを一緒に摂取することで、セロトニンの分泌量の増加が期待できます。
下の図を見ていただくと、これらの栄養素が含まれるバナナは忙しい朝の味方ですね。

〈トリプトファンを含む食材〉
⚫︎豆腐・納豆・味噌などの大豆製品
⚫︎チーズ⚫︎牛乳⚫︎そば⚫︎卵⚫︎ナッツ類
〈ビタミンB6を含む食材〉
⚫︎さば、さんまなどの魚類
⚫︎鶏胸肉やささみ
⚫︎玄米⚫︎ごま
⚫︎ブロッコリーや赤パプリカなどの緑黄色野菜
食事以外にもセロトニンは、太陽の光を浴びる、全身運動や呼吸法、咀嚼等をすると増えるといわれています。
⚫︎朝早く起きる
⚫︎歩く習慣や運動習慣を身につける
⚫︎よく噛んで食べる
⚫︎腹式呼吸をおこなう(鼻で息を吸いながらお腹をふくらませ、吐く息でお腹をへこませます)
イライラやストレスを感じたら是非、試してみてください。
鮭✖️さつまいも
鮭にはトリプトファンをはじめとした必須アミノ酸がバランス良く含まれ、またビタミンB6などのビタミンB群も豊富です。抗酸化作用が強いアスタキサンチンや、血管年齢を若く保つオメガ-3脂肪酸も含まれている高タンパク食材。養殖ではなく、天然の鮭を選びましょう。
さつまいもにはビタミンB6のほか、C、E、パントテン酸、葉酸、カリウム、銅などが豊富で、さつまいも1本でさまざまな栄養素を補うことができます。主食のご飯にさつまいもを混ぜて、手軽に栄養価をアップしましょう。
おすすめレシピ→鮭とさつまいもの炊き込みご飯
豆乳✖️バナナ
豆乳はトリプトファンが豊富な「大豆製品」で調理にも使いやすく、また大豆イソフラボンといわれる、女性ホルモンに似た成分がホルモンバランスを整えてくれるため、更年期障害にもおすすめです。
バナナにはビタミンB6をはじめとしたビタミン
B群や、マグネシウムも豊富。手軽に食べられて腹持ちがよく、エネルギー源にもなるバナナは、朝食にもぴったりです。
おすすめレシピ→豆乳とバナナのスムージー
特にこの暑い時期は冷凍バナナと豆乳のスムージーが最高に美味しく、例年の楽しみになっています。
*注意!
ビタミンB6は水溶性ビタミンで、水に溶け出しやすい性質があるため、茹でると損失が大きくなります。調理方法としては、蒸す、焼く、炒めるなどの加熱方法がおすすめです。
いかがでしたか?
イライラやストレスを感じている時はセロトニンが不足しているかもしれません。食材の組み合わせで効率的にセロトニンを増やしましょう。
クリニックはお盆休み中で、17日より診療となります。よろしくお願いいたします。