福岡天神内視鏡クリニックブログ

もう一つの食物繊維とは

こんにちは、医師の中島です。

 

今回は、もう一つの食物繊維、「発酵性食物繊維」についてのお話です。

 

発酵とは、微生物(菌)が食べ物などを分解する過程で、人に有益な物質をつくることをいいますが、人の腸内でも同じようなことがみられ、腸内細菌の善玉菌が食物繊維を分解して、「短鎖脂肪酸」など人にとって有益な物質を作り、様々な健康効果をもたらします。

前回の「水溶性食物繊維」「不溶性食物繊維」の一部が善玉菌によって分解されますが、この食物繊維のことを「発酵性食物繊維」といいます。

以前は水溶性食物繊維のみが善玉菌のエサになるといわれていましたが、不溶性食物繊維の中にも善玉菌によって発酵されるものがあることがわかってきました。

例えば、大麦に含まれる不溶性食物繊維を2型糖尿病のラットに投与すると、善玉菌のエサになり、短鎖脂肪酸を増やし、血糖値の上昇を抑えたいう論文報告があります。

Li, L. et al. Effects of insoluble and soluble fibers isolated from barley on blood glucose, serum lipids, liver function and caecal short-chain fatty acids in type 2 diabetic and normal rats. Food Chem. Toxicol. 135, 110937 (2020).

さらに、不溶性食物繊維であるセルロースを分解する腸内細菌が見つかったという論文も報告されています。

Moraïs, S. et al. Cryptic diversity of cellulose-degrading gut bacteria in industrialized humans. Science 383(6688), eadj9223 (2024).

 

発酵性食物繊維の種類には以下のものがあります。

◯水溶性食物繊維 とそれを含む食材です。

イヌリン(ごぼう、玉ねぎ、にんにく、チコリ)

β-グルカン (大麦、オーツ麦、きのこ類)

ペクチン (りんご、みかん、いちご、にんじん)

オリゴ糖 (バナナ、玉ねぎ、大豆)

 

◯不溶性食物繊維 とそれを含む食材です。

アラビノキシラン(小麦全粒粉、玄米)

レジスタントスターチ(冷やご飯、とうもろこし、豆類)

これらの発酵性食物繊維が善玉菌に分解されると、主に「酢酸」「プロピオン酸」「酪酸」という3つの短鎖脂肪酸が作られます。短鎖脂肪酸は腸管から吸収されて血中に入り、全身へ運ばれることにより、様々な健康効果をもたらします。

例えば、

・腸内環境を整える

・腸の蠕動を活発にして便通を改善

・血糖値の上昇を抑制

・脂肪の蓄積を抑制、肥満予防

・免疫機能の調整

・睡眠の質の向上

・持久力向上

・肌質の改善

などなど。

これだけのメリットがあるので、少しでも多く短鎖脂肪酸を増やしたいですよね。

では、その短鎖脂肪酸を増やすにはどうすればいいのでしょうか?

少し長くなりましたので、続きは次回。

 

週の中日ですね、一息ついて後半もがんばっていきましょう。

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