こんにちは、医師の中島です。
先日の外来で患者さんからこんな質問がありました。
「こちらで勧められているビタミンCやDが大事なのはわかりましたが、例えば、ビタミンAというものは何をしてるんですか? 意識して摂る必要がありますか?」と。
なるほど、たしかにあまり注目されないビタミンですね。少し考えてみましょう。
テーマ: ビタミンA
目次:
1, ビタミンAとは
2, 粘膜を強化し、ウイルスから身体を守る
3, ブルーライトにはビタミンA
4, こんな人にオススメ
5, ビタミンA摂取のポイント
ビタミンAは脂溶性(アブラに溶ける)ビタミンで、体内で合成できない栄養素なので、食事からの摂取が必須となります。
ビタミンAには、大きく分けて2つの種類があります。1つは、動物性の食品から摂取できる「レチノール」。もう1つは、主に植物性の食品から摂取できる「プロビタミンA」です。プロビタミンAはビタミンAの前駆体で、主にβ-カロテンが有名ですが、必要なときに体内でビタミンAに変換されます。
つまり、主に緑黄色野菜から摂れるβ-カロテンであれば、体内のビタミンAが不足すると、その分だけビタミンAがつくられ、過剰になることはないので、できるだけ緑黄色野菜からの摂取がおすすめです。
ビタミンAには口腔、肺、消化器官、膀胱などの粘膜、皮膚を正常に保つ働きがあります。皮膚や粘膜は感染症に対する最初の防御壁となり、外敵からの侵入を防ぐという役割があります。
また、体内に侵入した病原体に対抗するリンパ球や白血球細胞の発生にもビタミンAが欠かせません。
近年の研究で、ブルーライトには紫外線と同じような性質があり、目の疲れだけでなく、肌の老化にも影響を与えるということがわかってきました。
そのため、近距離で長時間ブルーライトを浴びていると、目の疲れ、頭痛、肌のたるみ、シミ、シワにつながり、さらに活性酸素を発生させ、細胞の老化の原因となります。この時季は、夏の日差しのダメージ残りと日頃のブルーライトで疲れが溜まりやすいので、抗酸化作用のあるピタミンAをしっかり補いましょう。
ビタミンAの代謝産物であるレチノイン酸が、小腸の組織にTリンパ球を配備するのに必須な因子であり、腸管粘膜の代謝および免疫機能に大きく影響しているという報告があります。
参考:「腸管免疫におけるビタミンAの役割」腸内細菌学雑誌 21:297-304,2007
口光がまぶしく感じる
口皮膚や粘膜が弱い
ロドライアイ
口乾燥肌
口夜盲症(夜間、ものが見えにくい)
口LDL(悪玉)コレステロール値が高い
口インフルエンザなどの流行病にかかりやすい
厚生労働省が「日本人の食事摂取基準(2025年版)」で定める推奨量は年齢により成人男性800〜900μg、成人女性650〜700μg。
この範囲であれば安全で、かつ必要だとされています。現在、日本人のビタミンAの一日の平均摂取量は令和元年国民健康・栄養調査によると、534μg程度ですので、やや不足しています。
ただし、もちろん過剰摂取は禁物です。
過剰摂取(2700μg以上)すると、吐き気、目のかすみ、視力低下、関節痛、頭痛、脱毛、筋肉痛などを引き起こしますので要注意です。

うなぎ 750μg(50g)
鶏卵 110 μg(1個)
大葉 88 μg ( 10g)
ほうれん草 700 μg(1束)
にんじん 570 μg(1/2本)
かぼちゃ 165 μg(50g)
マンゴー 305 μg(半分)
のり 138 μg(6 g )
1.油と一緒に調理しよう
脂溶性ビタミンであるビタミンAは、そのまま生で食べるよりも油で炒めることで体内への吸収力が高まります。
2.ビタミンCやビタミンEと一緒に摂る
同じ抗酸化ビタミンであるビタミンCやビタミンEと一緒に摂ると、 相乗効果で吸収率がよくなり、抗酸化力が高まります。
ビタミンC:キャベツ、ブロッコリー、キウイなど
ビタミンE:アーモンド、モロヘイヤ、かぼちゃ、アボカドなど
いかがでしたか?
あまり聞き馴染みのないビタミンAですが、大切な役割を担っていることが少しでもわかっていただければ幸いです。
週の中日ですね、一息ついて後半もがんばっていきましょう。