こんにちは、医師の中島です。
暑さがだいぶ和らぎ、朝晩は肌寒く感じる今日この頃ですね。気温の日内変動、寒暖差が大きいと、自律神経が乱れ、胃腸の調子を崩しやすくなります。
最近の外来では食欲不振の方が目立ち、1日1食という方も少なくありません。様々な栄養素が十分に摂れていないのではと心配になります。
今回は必須ミネラルの一つであるカリウムについてのお話です。
テーマ: カリウム
目次:
1, カリウムとは
2, ナトリウム過多になりやすい現代の食生活
3, むくみ対策にはカリウムを
4, カリウムは骨にも効く!
5, こんな症状はカリウム不足かも!?
6, おすすめの食材
7, ワンポイントアドバイス
体に必要な必須ミネラルの一つで、体の中では3番目に多いミネラルです。
その働きのポイントは、ナトリウム(塩分)と一緒に作用して、細胞内の浸透圧を調整しています。
また、相互に関わり、体内の塩分・水分量のバランスをとることで、高血圧やむくみの改善、そして全身の筋肉を正常に働かせています。
現代の食生活には、食品添加物を多用した加工品があふれています。「加工肉を1日150g以上食べると大腸癌のリスクが高まる」と、WHO(世界保健機関)が警告するほど、ハムや清涼飲料水、調味料などの身近な加工食品には、多くの「隠れたナトリウム」である食品添加物が使われ、現代人は気づかないうちにナトリウム過多になっています。ナトリウムは水と一緒に移動するので、ナトリウム過多になると体内の水分量が増え、血圧が高くなったり、むくみやすくなるというわけです。
塩分過多の食事などを食べた次の日に悩まされる「むくみ」。むくみ対策のポイントは、体内の水分の巡りを良くして、余分な水分を外へ出すことです。ナトリウムが体内で過剰になると、カリウムが余分なナトリウムと水分を排泄してくれるので、むくみが改善します。塩分を摂りすぎた際には、カリウムを摂取するように意識しましょう。
カリウム摂取による骨の健康への有用性が報告されており、骨粗鬆症の予防や治療に有用である可能性が示唆されています。その機序については、尿中カルシウム排泄の抑制や骨吸収の抑制などが考えられており、骨密度の増加につながります。
https://doi.org/10.19020/J02201.2017161094
口 手足のだるさ
口 むくみ
口 脱力感
口 筋力低下
口 高血圧
口 食欲が出ない
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年度版)」によると、カリウムの摂取目安量は成人男性で2,500mg/日、成人女性で2,000mg/日ですが、男女ともに500mg程度不足しているといわれています。
カリウムは、野菜、果物などの生鮮食品、シーフード、乳製品などに含まれていますが、加工や精製が進むとカリウムは減少します。これは、カリウムは水に溶けるため、煮たりゆでたりすると、食物中のカリウムが、水の中に溶け出してしまうためです。
カリウムを摂取する場合は、野菜や果物はなるべく生で食べましょう。

注意: 腎機能が正常であれば、過剰摂取になるリスクは低いと考えられているため、カリウムの摂取の上限量は設定されていません。しかし、腎臓病の方はカリウムの排出がうまくいかず、高カリウム血症(手足のしびれ、脱力感、倦怠感、胃のむかつきや嘔吐などの胃腸症状、不整脈や心停止など)を起こす可能性があるので注意しましょう。
ほうれん草
野菜の中でも、カリウムを多く含むものの一つ。鉄や、ビタミンA、ビタミンCも多く含み、生活習慣病の予防に効果的です。
バナナ
手軽に食べられる
さまざまな栄養素を豊富に含む優秀食材。食物繊維も多く含むため腸内環境を整えます。
海藻類
ひじきや昆布などに含まれるアルギニン酸という食物繊維には、体内のカリウムを増やし、ナトリウムを減らす働きがあります。毎食摂りたいですね。
カリウムは、水に溶けやすく熱に弱いので、なるべく生の状態で食べるのがベスト。
野菜に多く含まれているため、サラダでたっぷり摂ることをおすすめします。
火を通す場合には、蒸すか、煮汁ごと摂れるスープにするなど、食べ方を工夫しましょう。
いかがでしたか?
カリウムの摂取は、血圧の低下、脳卒中の予防、骨密度の増加につながります。特に11〜12月は脳卒中が増える時季なので、これからの季節は意識して摂るようにしましょう。
週の中日ですね、一息ついて後半もがんばっていきましょう。