福岡天神内視鏡クリニックブログ

肝臓の働きとは

こんにちは、医師の中島です。

 

前回まで脂肪肝やその原因について、お話してきましたが、そもそも肝臓はどんな働きをしているのでしょうか。

肝臓が持つ機能について、いくつ思い浮かびますか?

今回は肝臓の働きについてのお話です。

 

肝臓は「人体最大の化学工場」と呼ばれ、500以上もの化学反応を行っています。

肝臓はお腹の右上、右助骨の内側に位置していて、

そのサイズは左右に25cm、前後に15cmほど。重さは1~1.5kgと体重の約2%を占め、脳よりも重いのが特徴です。体重50kgの人だと、肝臓は約1kgということになりますね。

肝臓は全臓器中で最も大きく、最も重い臓器なのです。

 

肝臓の仕事は大きく4つあります。

代謝・解毒・免疫・胆汁の産生です。

まず代謝は、私たちが生きるためのエネルギーを生み出す重要な働きです。

食事から摂った栄養分は、そのままの形で利用することはできません。

肝臓は、胃や腸で分解・吸収された糖質・脂質・タンパク質などを利用しやすい物質にして貯蔵し、必要に応じてそれらを分解してエネルギーなどを作り出します。

とくに、糖質の代謝は血糖値を一定に保つうえでも重要な役割を果たしており、小腸から吸収されたグルコースを必要に応じて貯蔵(グリコーゲンとして)・放出(グルコースとして)する働きを担っています。

 

解毒は、アルコールや薬物などの有害物質や代謝の過程で発生した有害物質(代謝産物)を分解して、体に悪影響が出ないように無毒化して、尿や胆汁とともに体外に排出させます。

肝臓は摂取したアルコールを無毒化しますが、必要以上に摂取すると肝臓の解毒作用が追い付かず、肝臓に大きな負担をかけてしまいます。

また、身体にとって有害なアンモニアを無毒化し、尿素として排出することで、脳や腎臓への負担を軽減しています。

肝臓が「デトックスの臓器」と呼ばれる所以です。

 

肝臓は免疫機能も担っています。

肝臓は、消化管で吸収された栄養素が最初に流れ込む臓器です。腸から入ってくる病原菌やウイルス、カビなどの異物は、まず門脈を経て肝臓へ運ばれ、「クッパー細胞(マクロファージ)」またの名を「食細胞」といい、文字通り、異物を「食べて除去する」役割を持ち、クッパー細胞の約8割が肝臓に存在します。もし肝機能が低下すれば、免疫力が低下し、感染しやすくなるため、肝臓は免疫の要として非常に重要な臓器なのです。

 

最後に胆汁の産生。肝臓は脂質の消化吸収を助ける胆汁を産生・分泌します。

胆汁に含まれる胆汁酸は、脂肪を細かく分解(乳化)して水と混ざりやすくし、腸での吸収をスムーズにする働きがあります。

脂っこい食べ物を安心して食べられるのも、実は肝臓のおかげなのです。逆に、肝臓の機能が低下すると、体内を循環する胆汁酸が不足し、脂肪の消化吸収がうまくいきません。そうなると、脂身の多いお肉や揚げ物などを食べると、胃もたれや食欲不振、胸のつかえなどの症状が出る可能性も高くなります。

 

いかがでしたか?

肝臓の「肝」は、「肝に銘じる」「肝っ玉」「肝を冷やす」など、様々なことわざや慣用句に使用されています。昔から肝臓は、その働きのみならず、人間の精神や感情、意志などにも深く関わる重要な臓器と認識されてきたことが伺えますね。

普段あまり意識しない肝臓のありがたみを少しでも感じていただければ幸いです。

 

週の中日ですね、一息ついて後半もがんばっていきましょう。

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