おはようございます。医師の秋山です。
さて、今回は糖尿病の話をしたいと思います。

糖尿病という病気を知らない人はいないと思います。おそらく、病気の中で一番ポピュラーなのではないでしょうか。
実際、日本の糖尿病の患者数は、2000年で710万人だったのが、2024年には1,080万人にまで増加したとのことです。すごいですね。
さて、糖尿病についてはその発症原因は複数あると言われていますが、消化器内科らしく、腸内環境の視点から考察してみましょう。
最近、「糖尿病発症の主要な原因の1つが腸内環境の悪化である」と言われているのをご存知でしょうか?
それでは、腸内環境が悪化するとなぜ糖尿病が発症するのか理由を考えてみましょう。
①腸内環境が悪いと短鎖脂肪酸が減少するから
腸内環境が悪化する=善玉菌が減るという意味です。
善玉菌は、発酵性食物繊維をエサにして短鎖脂肪酸(酪酸、酢酸、プロピオン酸)を産生します。
そして、小腸や大腸に、GLP1を作るL細胞が存在しており、このL細胞にある短鎖脂肪酸受容体に短鎖脂肪酸がくっつくことにより、GLP1が作られます。
このGLP1は膵臓のβ細胞にあるGLP1受容体にくっつくことにより、インスリンが作られて血糖値が下がるんですね。
当然ですが、短鎖脂肪酸が減少すればインスリンも減少することになります。そうすれば血糖値がなかなか下がってくれなくなるんですね。
さらに、短鎖脂肪酸は抗炎症作用があります。体中に起こっている炎症を鎮めてくれる働きがあります。実は体内で起こっている炎症により、インスリンの感受性が低下しているんです。つまり、炎症によりインスリンが効きにくくなっているんですね。
短鎖脂肪酸の抗炎症作用により、インスリンの感受性が高まり、インスリンを効きやすくしてくれます。
②腸漏れにより体中に炎症が起こるから
腸内環境が悪くなると、腸の細胞同士の間に隙間ができて、腸漏れを起こしてきます。
これにより、炎症の原因となる物質が漏れ出て全身を巡り、あちこちで慢性的に炎症が起こってくるんです。
先ほども説明しましたが、炎症によりインスリンの効き目が悪くなりますので、糖尿病のリスクが高くなってしまいます。
腸内環境が悪くなると体内でこのようなことも起こっているんですね。
実際、食物繊維を摂取することにより、短鎖脂肪酸が増加によりGLP1も増加したという報告もありました。
Zeng Y,et al,” Crosstalk between glucagon-like peptide 1 and gut microbiota in metabolic diseases” mBio. 2024 Jan 16;15(1):e0203223.doi: 10.1128/mbio.02032-23. Epub 2023 Dec 6.
いかがでしょうか。腸内環境が悪くなると、糖尿病発症の原因となりえます。
腸内環境は年齢とともに必ず衰えていきます。普段から腸活して、腸内環境を良くするように心がけましょう!
それでは今週も頑張りましょう。クリニックでお待ちしております。