福岡天神内視鏡クリニックブログ

肝臓を労る生活習慣 Part I

こんにちは、医師の中島です。

 

前回まで、肝臓の働き、脂肪肝から肝硬変に至る原因、そして肝硬変の恐ろしさについてお話してきました。

肝臓は「沈黙の臓器」といわれるように、ダメージを受けて機能が低下しても、すぐには自覚症状が出ません。ダメージが蓄積し、いよいよ自覚症状が出た頃には、「時すでに遅し」でした。

そんな寡黙な働き者の肝臓をいじめ続けると、必ず後悔する日がきます。

そうならないためにも、普段からの心掛けが大変重要となります。

肝臓を助けるおススメの生活習慣をお話していきます。

 

⭐︎野菜の量を倍にする

野菜は肝臓の負担を減らし、脂肪肝の改善をサポートするため、積極的に摂りましょう。そのカギとなるのが、野菜に豊富に含まれる食物繊維(特に、アボカド、キウイ、リンゴなどの果物類や海藻類、納豆、山芋などの水溶性の食物繊維)。腸内での栄養の吸収がゆるやかになり、肝臓が時間をかけて代謝できるようになります

しかし、日本人の多くは野菜を十分に摂れていません。一日あたりの目標量は、両手いっぱいに野菜がのる約350gですが、実際はその半分以下にとどまっています。まずは「今の倍の量の野菜を食べる」という意識を持つことから始めましょう。

糖質の多い野菜(じゃがいも・にんじん・かぼちゃ・さつまいも・とうもろこしなど)は量を抑え、色の濃い野菜(ブロッコリー・ほうれん草・トマトなど)を積極的に摂るようにしましょう。食物繊維が豊富なきのこ類や、わかめ・ひじきなどの海藻類を組み合わせるのも効果的です。

おすすめの食べ方は、夜ご飯を野菜スープに置き換えること。腸内環境を整える食物繊維を取り込めるため、肝職にも優しく、水分を一緒に摂ることで満腹感も得やすくなります。

食事の最初に野菜を食べる「ベジファースト」も心がけるといいでしょう。

食物繊維のおかげで糖の吸収スピードがゆるやかになり、血糖値の上昇を防ぐことができます。

野菜の摂取量を倍にしたら、その分主食の量は抑えることが理想です。白米やパン、麺などはすべて脂肪になりやすい精製糖質で、いわば「形を変えた砂糖」のようなもの。「主食は半分、野菜は2倍」というシンプルなルールを意識するだけで、脂肪肝の改善に驚くほど効果があります。

 

⭐︎野菜スープに卵と豆腐を

糖質を控えるだけでも一定のダイエット効果はありますが、それだけだと体力が落ちて筋肉が減り、かえって痩せにくい体質になってしまいます。健康的に体重を落とすためには、筋肉の元となるタンパク質をしっかり摂ることが非常に重要です。肝臓の修復や代謝を助けるためにもタンパク質は有効ですし、タンパク質が加わることで満腹感が得られ、空腹対策にもなります。

一日に必要なタンパク質の目安は、「自分の体重 (kg)と同じグラム数」です。たとえば体重70kgの人であれば、70gが必要となります。60代以上になると筋肉が減少しやすいため、やや多めのタンパク質を摂りましょう。自分の体重の数✕1.2倍が目安です。体重70kgの人なら84gとなります。

タンパク質は一度に大量に摂っても体に吸収されにくいため、3食に分けて、毎食20~30gを目安に摂ることがポイントです。肝臓の回復を促進する効果もあります。

毎日の食事に取り入れるうえで便利なのが、タンパク質の量をざっくり把握しておくこと。「20g」と「7g」のチームに分けて覚えると便利です。

肉や魚100gには約20g、納豆1パック、卵1個、豆腐3分の1丁、無糖ヨーグルト150gには、それぞれ約7gのタンパク質が含まれます。野菜スープに卵を一つ落として豆腐を足せば、それだけで14gのタンパク質が摂取できます。手間の少ない方法で、食事にタンパク質をプラスすることを意識してみてください。

夜は自然とタンパク質を摂る機会が多いので、朝と昼に意識してタンパク質を摂ることが大事です。朝と昼で40g程度摂れていれば、一日の必要量を達成しやすくなりますよ。

 

いかがでしたか?

無理はせず、できそうなことから取り組み、長く続けることがコツです。

次回も引き続き、肝臓を労る生活習慣のお話です。

 

週の中日ですね、一息ついて後半もがんばっていきましょう。

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