こんにちは、医師の中島です。
今回より食べ合わせ術の話題に戻ります。
テーマ:ナトリウムとカリウム
目次:
1、体内水分量のバランスを保つナトリウムとカリウム
2、高血圧の落とし穴
3、「塩ではない塩」に注意
4、ナトリウムとカリウムの理想の食べ合わせ
ナトリウムとカリウムは、いずれも身体機能を正常に保つために必要不可欠な「ミネラル」です。人体の細胞内には「カリウム」、細胞外には「ナトリウム」が多い状態で安定しており、互いに協力し合って体内の水分量を調節したり、筋肉の弛緩・収縮や神経伝達が正常に働くように作用しています。

「高血圧=塩分のとり過ぎ」と考えがちですが、本来、余分なナトリウムは尿などからすぐに排泄されます。また、日本人は海に囲まれた国土で古くから塩蔵という食文化を持ち、塩分に対してある程度の耐性を獲得しているため、多少とり過ぎたからといってすぐに高血圧になるということは考えにくいです。
実は、それ以上に気をつけたい落とし穴があります。
最も重視するべき問題点は、成分のほとんどがナトリウムであることです。
一方、海水の水分を飛ばしてつくる未精製塩は、ナトリウムを排出するカリウムをはじめ、マグネシウムなど、人体に欠かせないミネラルを豊富に含んでいます。
原材料にリン酸塩、亜硝酸塩、安息香酸塩などの記載があったら、それらはナトリウムを含むことを意味しています。いくら塩分に気をつけても、加工食品を多用していると、思わぬ量のナトリウムをとっているかもしれません。
つまり、高血圧の原因の一つは、「塩分」ではなく、「ナトリウム」の過剰摂取が考えられます。加工食品を避け、カリウムやマグネシウムなどが豊富な野菜や果物、豆類などに、未精製の塩を適量用いる食生活に整えていきましょう。
それぞれの栄養素が有効に働き、その効果が倍以上に活かされる食べ合わせ
味噌は優れた発酵食品です。味噌に善玉菌が含まれていますし、味噌の麹菌の代謝物がさらに善玉菌のエサとなってさらに善玉菌が増えます。
味噌汁の具材には野菜・海藻を入れましょう。善玉菌と食物繊維を一緒に摂れるので、より腸活効果が上がります。また、海藻類はヌルヌル成分のアルギン酸(食物繊維の一種)も多く含み、体内の過剰なナトリウムを排出してくれる働きがあります。
ただ、味噌を作るときに塩を使うことから、味噌汁が塩分の摂取過多につながっていると長年信じられてきましたが、それは昔の話。
ある研究では、
・みそ汁を1日、0~1杯飲んだグループ
・みそ汁を1日、3~5杯飲んだグループ
・みそ汁を1日、6~15杯飲んだグループ
(期間はいずれも5日間)
の血圧を調べたところ、明確な違いが出ませんでした。つまり、味噌汁をよく飲む人とあまり飲まない人とで、血圧に違いは見られないという結果が出たのです。また、近年の研究では、味噌汁を毎日飲んでいる人のほうが血圧が上がらないことから、味噌汁に降圧作用があることがわかっています。そのほか、自律神経の調整作用があることも示されています。
Ito K, et al. The Effects of the Habitual Consumption of Miso Soup on the Blood Pressure and Heart Rate of Japanese Adults: A Cross-sectional Study of a Health Examination. Intern Med. 2017; 56(1):23-29.
味噌汁の具材は、味噌で増える善玉菌をさらに育てるための発酵性食物繊維がおすすめです。例えば、たまねぎ、ねぎ、キャベツ、ごぼうなどはおすすめの発酵性食物繊維です。
そして、なんといっても一番のおすすめは豚汁です。
具材は脂身の少ない赤身の豚の薄切り、板こんにゃく、ねぎ、ごぼう、里芋、豆腐、薄揚げ、にんじんなど、具だくさんなので、摂りづらい野菜もみそ汁で摂るのはとてもおすすめです。豚汁って、なんか特別感があって、少しテンションが上がります、、私だけでしょうか笑

いかがでしたか?
体にいいこと尽くしの味噌汁は1日1杯と決めつけず、1日2杯でもいいですね。
週の中日ですね、一息ついて後半もがんばっていきましょう。