こんにちは、医師の中島です。
今回は、ビタミンDとカルシウムについてのお話です。
テーマ : ビタミンDとカルシウム
目次 :
1, ビタミンDの役割
2, こんな人はビタミンD不足かも⁈
3, 骨を強く丈夫にする食べ合わせ
4, 「ビタミンD+カルシウム」の理想の食べ合わせ
主に骨の形成に関わるビタミンDは、日光を浴びることで体内で合成できる唯一のビタミンです。骨といえばカルシウムをイメージしがちですが、ビタミンDは肝臓や腎臓で活性型ビタミンDに変換され、小腸からのカルシウムの吸収を促進し、血中のカルシウム濃度を調整しています。また、尿中に出ていきやすいカルシウムを再吸収するのもビタミンDの役割の一つです。
そのため、骨の材料となるカルシウムやリンが体内に十分にあったとしても、ビタミンDが不足していると、骨が脆くなり、骨折しやすくなるなど、いわゆる骨粗鬆症のリスクになります。
健康な人でも98%がビタミンD不足といわれていますが、特にこれからは日照時間が短くなり、気温も下がって、外出して日光を浴びる機会が少なくなるため、ビタミンD不足に注意が必要です。
他にもビタミンDには、免疫機能の調整やうつ病の予防、発癌の抑制など様々な働きがありますが、今回は骨の形成に関わる働きに絞らせていただきます。
骨の土台を作る「カルシウム」の摂取と併せて、「ビタミンD」を一緒に摂りましょう。カルシウムの補給には、イワシやシラス、桜エビなどの小魚や、木綿豆腐、納豆、小松菜、水菜などの食材がおすすめです。ビタミンDが豊富な食材には、舞茸やエリンギ、きくらげなどのきのこ類や、卵、鮭、サバなどがあります。日本食品標準成分表2020年版(八訂)によると、普段の食事に上記の食材を使った一品を加えると、ビタミンDの1日必要量が満たせるそうです。

舞茸✖️小松菜
舞茸はキノコ類の中でもビタミンDが豊富。また、ガン細胞の増殖を抑えたり、血圧・血糖値・コレステロールを下げる効果が期待できる「β-グルカン」も豊富です。小松菜は青菜の中でもカルシウムや鉄、ビタミンCが豊富に含まれています。いずれも水に溶けやすい栄養素のため、味噌汁やスープにして汁ごと食べるか、炒めての調理がおすすめです。
ビタミンDは脂溶性ビタミンのため、油と一緒に調理することで吸収率がさらにアップします!
舞茸と小松葉のオリーブオイル炒めなどいかがでしょうか?
卵✖️桜エビ
ビタミンDは卵白には含まれず、卵黄にのみ含まれます。桜エビは、4~6月と10月~12月が旬の高カルシウム食材。他にも、抗酸化力が高く、ガン細胞の増殖を抑制するアスタキサンチンやタウリン、キチン・キトサンなどが豊富で、丸ごと食べられるため栄養素も損ないません。
桜エビ入りの卵焼き、美味しいですよ。
干ししいたけや乾燥きくらげ、煮干しなど、天日干しした食品は、日光によってビタミンDの含有量がグンと増えています。空気が乾燥する気候を上手く利用し、晴れた日には生のしいたけや野菜を1~2時間ほど天日干ししてから調理してみましょう。効率良くビタミンDを摂ることができますよ。
日本の骨粗鬆症患者数は約1,500万人と推定されており、50代の女性9人に1人、60代の女性3人に1人、70代の女性2人に1人が骨粗鬆症であると言われています。毎日の食事にビタミンD+カルシウムを取り入れて骨粗鬆症を予防しましょう。
週の中日ですね、一息ついて後半もがんばっていきましょう。