福岡天神内視鏡クリニックブログ

ビタミンDと腸内環境は1つにつながり、糖尿病を予防します!

おはようございます。医師の秋山です。

 

さて、今回も糖尿病について話をしたいと思います。

糖尿病の予防について、現在最も注目されている分野があります。

それが、前回取り上げた腸内環境と、そしてビタミンDです。

 

一見なんの関係もなさそうなこの2つですが、実は1つにつながって糖尿病を予防するサイクルを形成しています。

どのようにつながっているかをまずは簡単に図式化すると

こんな感じです。

 

実は、ビタミンDを摂ると、腸内環境が良くなっていくと言われています。それは、以下のような作用があるからです。

 ①ビタミンDにより腸内細菌の多様性が上がる

ビタミンDの血中濃度が高いと腸内細菌の多様性が上がるという報告があります。

Thomas RL, et al,” Vitamin D metabolites and the gut microbiome in older men” Nat Commun. 2020 Nov 26;11(1):5997.

腸内細菌の多様性が上がるということは、沢山の種類の腸内細菌が増えるということです。腸内細菌の種類が増えれば増えるほど、腸内環境は良くなりますので、ビタミンDをしっかりと摂れば腸内環境がよくなるということになります。

 

②ビタミンDにより善玉菌の1つである酪酸菌も増える

 酪酸菌は善玉菌の代表でしたよね。酪酸菌が増えれば、短鎖脂肪酸の1つである酪酸を沢山産生してくれます。

Thomas RL, et al;” Vitamin D metabolites and the gut microbiome in older men.” Nat commun. 2020 Nov 26;11(1);5997.

 

特に、酪酸はGLP1をより増やす作用があるという報告もありますので、酪酸が増えればよりインスリン感受性が高まるということになりますね。

Coppola S,et al,” The Protective Role of Butyrate against Obesity and Obesity-Related Diseases” Molecules. 2021 Jan 28;26(3):682.

 

③ビタミンDにより腸のバリア機能を維持し、腸上皮細胞のつなぎ目を強化する作用がある

具体的には、活性型ビタミンDが腸粘膜に存在するビタミンD受容体(VDR)に結合して、腸の粘膜細胞の間のつなぎ目を強くするんです。また、ビタミンDは抗炎症作用もありますので、腸内の慢性炎症を抑え、腸粘膜の修復も行ないます。

これにより、腸漏れを防いでくれるんですね。

 

以上のような感じでビタミンDが腸内環境を良くしてくれると、短鎖脂肪酸が増えます。

短鎖脂肪酸が増えると、腸からGLP1というホルモンが分泌され、体内の抗炎症作用も強くなり、インスリン感受性が高まります。

これにより、インスリンの効き目が良くなって糖尿病が予防できるというわけです。

 

しかも、腸内環境が良くなれば、短鎖脂肪酸(特に酪酸)が腸上皮細胞に作用して、ビタミンD受容体を増やしてくれます。

さらに、中間型ビタミンDを活性化ビタミンDに変換する酵素を、腸上皮細胞で発現させてくれるんです。これにより、腸で直接中間型ビタミンDを活性化ビタミンDに変換して利用することができます。

 

ビタミンDが増えれば腸内環境が良くなりますし、腸内環境が良くなればビタミンDも効率的に使われるという好循環なループが形成されるんですね。

 

いかがだったでしょうか。糖尿病を予防するために、ぜひ日頃から腸活をして、ビタミンDも積極的に摂るようにしましょう。

 

それでは今週も頑張りましょう。クリニックでお待ちしております。

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