こんにちは、医師の中島です。
前回は「胃痛を起こしうる炭水化物を控える代わりに何を食べてエネルギーを摂取すればいいのか?」という問題提示で終わっていました。
これを解決するのが「ケトン食」です。
炭水化物を摂らずに肉や魚、卵などのタンパク質と脂から栄養を摂るのがケトン食です。ケトン食を続けると体内で脂肪を燃焼してエネルギー(脂肪酸)をつくり出すようになりますが、この脂肪酸の一種がケトン体です。以前は「脳はブドウ糖しかエネルギー源にできない」といわれていましたが、現在はケトン体でも脳が働くことがわかっています。
考えてみると、人類は農耕が始まる1万年前まで狩猟民族だったわけです。主にタンパク質と脂メインのケトン食がエネルギー源であり、ブドウ糖は二次的なエネルギー源だったのです。
元々、人類はケトン食をメインのエネルギー源としていたのですね。炭水化物は美味しいものが多いですが、人類の歴史を考えると現代の炭水化物中心の食事は不自然な気がします。
ここで確認ですが、人体の構成物質は水分が約60%、タンパク質が約16~18%、脂質が約15~20%、ミネラルが約6%、そして糖質は約0・5%しかありません。
構成比からもタンパク質と脂質が人体を構成する必須成分ということがわかりますが、約0・5%しか占めない糖質のために一日の食事の多くを炭水化物に充てることはやはり非効率ですし、身体に負荷がかかり不調をきたすのも納得できる気がします。
まずは一日のうち一食(夕食がオススメ)を炭水化物抜きにしてみませんか?
お肉や魚をメインにするだけでも胃痛や胃もたれなどの症状は軽くなっていくと思います。
また、ケトン食は脂肪を多く摂取することになるため、胆嚢から胆汁酸が分泌され、この胆汁酸が小腸粘膜を整えるとともに腸内の悪玉菌の発生を抑えるため、腸内環境が改善するというメリットもあります。
慢性的な胃痛で悩んでいる方は、まず炭水化物の摂取量を見直してみませんか?
週の中日ですね、一息ついて後半もがんばっていきましょう。