福岡天神内視鏡クリニックブログ

おならについて つづき

こんにちは、医師の中島です。

前回に引き続き、おならのウソ、ホントについてお話したいと思います。

 

⑤肉食の人のオナラは少ないがクサイ⁈

答えはホント。

みなさんは海外旅行、特に欧米への旅行中にオナラの量は減るのに臭いがキツいと感じたことはないでしょうか?

和食は野菜や海藻類など食物繊維の多い植物性食品がメインである一方、欧米は牛肉や豚肉のような動物性食品が多く、低繊維&高タンパクな食事を続けると、おならの量は減るのに臭いがキツくなるというわけです。

まず、腸内細菌もおならを作っているので、エサとなる食物繊維が少ないと、おならの量も減ります。ある研究では、被験者に2日間、食物繊維を全く含まないファイバーフリー食を食べてもらったところ、おならの量が大きく減ったと報告しています(Tomlin J et al., Gut, 1991; 32: 665-669)。

次に、肉類のように高タンパクな食事を続けると、硫黄を含むアミノ酸をたくさん摂ってしまうことになるため、臭いの原因となる揮発性硫黄化合物などが増えるというわけです。

日常生活の中で、「おならが少ないけどクサい」と感じたら、純和食にスイッチしてみてください。

 

⑥善玉菌が多い人のオナラは臭わない⁈

答えはウソ。

善玉菌とは、腸内の発酵により体にとって有益な代謝物を作り出すもので、ビフィズス菌、乳酸菌、酪酸菌などがあります。

腸内に善玉菌が多いほど、腸内環境が良くなり、おならも臭わなくなるというイメージがあるかもしれませんが、それは必ずしも正しくはありません。

善玉菌が作る善玉物質の代表格は、酢酸、酪酸、プロピオン酸といった短鎖脂肪酸。

この短鎖脂肪酸は強い臭いを放つもので、酢酸=酢の刺激臭は皆さんも一度は嗅いだことがありますね。酪酸やプロピオン酸の臭いも、負けず劣らず強烈です。短鎖脂肪酸の多くは大腸から体内に吸収されて利用されますが、一部の輝発性成分は、おならに混じって出てくるため、臭いの原因の一つになります。つまり、おならが臭うということは、短鎖脂肪酸が存在する可能性を示しており、むしろ歓迎すべきなのです。おならの臭いで、全身のコンディションはもちろん、腸内環境の良し悪しを自己判断するのは早計かもしれませんね。

いかがでしたでしょうか。

オナラについての知識編は今回で終わりになります。

次回より対策編について述べていきます。

 

週の中日ですね、一息ついて後半も頑張っていきましょう。

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