おはようございます。医師の秋山です。
さて、今回は、整腸剤の飲み方について解説します。
患者さんからよく聞かれるのが
「整腸剤って食前、食後のいつ飲んだ方がいいんですか?」
です。
これは皆さんも疑問に思っている方多いのではないでしょうか。
それでは解説していきたいと思います。
ドラッグストアなどで売っている整腸剤はほぼほぼ生菌製剤です。つまり、生きた菌が錠剤の中に含まれています。
そんな生菌を使用した整腸剤の説明書には、だいたい
「食後に服用してください」
と書いてあります。
これは乳酸菌やビフィズス菌は胃酸に弱いため、胃酸が薄まっている食後の方が良いからなんですよね。
しかしながら、ある論文では、整腸剤の乳酸菌やビフィズス菌は、食事30分後よりも、食事中や食前(30分前)に飲んだ方が菌の生存率は高くなるという報告があります。
Tomkins TA,et al: “The impact of meals on a probiotic during transit through a model of the human upper gastrointestinal tract” Benef Microbes,2(4):295-303,2011
これらのことを踏まえると、食前に飲んでも食後に飲んでもあまり変わりはないような気がしますね。
私はいつも「どのタイミングで飲んでもいいですよ」と伝えていますが、気になる方は飲んでいる整腸剤の説明書通りにするのが無難です。
ちなみに、1錠の菌数が多い整腸剤は、だいたい死菌を使用しています。
乳酸菌は以前から、死菌でも十分に効果があると言われていましたが、下痢や便秘を治す整腸作用が得意分野であるビフィズス菌も、死菌でも効果があることが報告されています。
Andresen V,et al,” Heat-inactivated Bifidobacterium bifidum MIMBb75 (SYN-HI-001) in the treatment of irritable bowel syndrome: a multicentre, randomised, double-blind, placebo-controlled clinical trial” Lancet Gastroenterol Hepatol,5:658-666,2020
当然ですが、死菌を使用した整腸剤は、食前、食後に関わらず好きなタイミングで飲んで大丈夫です。
いかがだったでしょうか。整腸剤を飲むタイミングの参考にされてください。
それでは今週も頑張りましょう。クリニックでお待ちしております。