福岡天神内視鏡クリニックブログ

カルシウムとビタミンD複合サプリメントの過剰摂取の報道について解説します。

おはようございます。医師の秋山です。

 

さて、今回は、カルシウムとビタミンD複合サプリメントの過剰摂取の報道について解説したいと思います。

先日、以下のような記事が出てました。

 

「人気バンドの元ボーカル、サプリ過剰摂取で緊急入院 高カルシウム症で「十分死ねる数値だった」」

 

内容ですが、ある会社の社長さんが、滞在先の香港で、カルシウムとビタミンDの複合サプリメントを10錠飲んだところ、高カルシウム血症で入院した、ということです。

血中カルシウム値が15.2mg/dlだったとのことですが、正常値が大体8.8~10.4ですので、入院治療レベルになりますね。

 それでは、なぜカルシウムとビタミンDの複合サプリメントで高カルシウム血症が起きたのかを説明したいと思います。

 

そもそも、なぜカルシウムとビタミンDの複合サプリメントなるものが存在するのでしょうか?

これは、ビタミンDが、腸管でのカルシウムの吸収を促進させるからなんです。

 

ですから、カルシウムとビタミンDの複合サプリメントの位置付けとしては、

 「カルシウムをサプリメントで摂取することが目的で、摂取したカルシウムを効率よく腸管で吸収させるために、ビタミンDが複合されている」

 ということになります。

 

市販されているカルシウムとビタミンDの複合サプリメントを見てみると、カルシウムの配合量が1錠で200mg~600mgとかが主流ですね。

対してビタミンDの配合量が100I.U.~400I.U.程度になります。ちなみに、これは非活性型ビタミンDになります。

 

カルシウムの配合量はそこそこあります。ビタミンDの配合量はあくまでサポートする立場なので少なめになってます。

 

さらに、血中濃度の半減期ですが、血中カルシウム値が約3日、非活性型ビタミンDが約3週間です。

つまり、複合型サプリメントを飲むと、カルシウムの血中濃度の方が一気に上がり、ビタミンD血中濃度は緩やかに上昇するということになります。

 

記事を読むと、複合サプリメントを10錠飲んだことになります。例えば1錠500mgのカルシウムのサプリだったとすると、一気に5,000mgのカルシウムを摂ったことになりますね。

カルシウムの1日上限量が2,500mgですので、ゆうに上限量を超える計算になります。

ビタミンDの方は、例えば1錠200I.U.だとしても、10錠で2,000I.U.ですから、特に問題はない量です。

 

つまり、今回のカルシウムとビタミンD複合サプリメントの過剰摂取は、カルシウムを一気に摂りすぎたことによる高カルシウム血症ということになります。

 

皆さんもサプリメントは正しい用法用量を守って飲んでください。

先日、ホノルルトライアスロンに参加してきました。

なんとか完走することができました。怪我なく帰国できたことが一番ですね。

ホノルルは暑いですが、治安も良く、人々もフレンドリーで素敵な街です。

 

それでは今週も頑張りましょう。クリニックでお待ちしております。

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。