おはようございます。医師の秋山です。
さて、今回は我々医療従事者も恐れている膵臓がんについて解説したいと思います。
まずは膵臓がんの統計から見ていきましょう。
膵臓がんは年々増加傾向で、現在では膵臓がんの年間死亡者数は4万人を超えています。
日本対がん協会の統計によると、2023年の主な部位別がん死亡順位は、
男性
1位 肺がん 2位 大腸がん 3位 胃がん 4位 膵臓がん
女性
1位 大腸がん 2位 肺がん 3位 膵臓がん 4位 乳がん
となっています。男女ともに膵臓がんで亡くなる方って結構多いんですよね。
我々医療従事者から見ても、膵臓がんは早期発見が非常に難しいです。
膵臓がんの初期は症状がほとんどなく、いざ症状が出現した時にはかなり進行した状態であることが多いため、膵臓がんの発見時は、ほとんどが進行しています。
ちなみに、一番進行したステージⅣの5年生存率は1.8%とかなり低いです。
それにしてもなぜ膵臓がんが増えてるんでしょうか?
まずは膵臓がんになるメカニズムからおさらいしてみましょう。
一般的に、がんは、細胞の遺伝子変異が起こってがん化していきます。
膵臓がんは、最低で2個以上の遺伝子変異が起こると発症します。中には、最大で6個の遺伝子変異が存在した膵臓がんも報告されています。
Maitra A, et al, “Multicomponent analysis of the pancreatic adenocarcinoma progression model using a pancreatic intraepithelial neoplasia tissue microarray” Mod Pathol. 2003 Sep;16(9):902-12
膵臓がんのように、複数の遺伝子変異により発症するがんを「多段階発がん」と言います。
そして、遺伝子変異が起こってしまう原因の1つが、活性酸素なんです。
活性酸素は、さまざまな要因で体内で作られます。
紫外線、ストレス、過度な運動、糖質をたっぷりと摂る食事、飲酒、喫煙など。。。
そして膵臓は、体内の臓器の中でも特に活性酸素に弱く、ダメージを受けやすい臓器と言われています。
現代の糖質たっぷりの食事や飲酒はかなり膵臓を酷使し、発生した活性酸素で膵臓を痛めつけてしまうんですね。そしていつしか遺伝子変異が複数個起こり、発がんしてしまう、といった感じです。
つまり、飽食の時代である現在の食生活の環境が、膵臓がんを増加させた要因の1つとして考えられます。
糖質がたっぷりと含まれた食事をお腹いっぱい食べている人は、知らないうちに膵臓がんへの階段を上がっているかもしれませんので気をつけたいところです。
今回はここまでです。膵臓がんを予防できる方法については次回解説したいと思います。
それでは今週も頑張りましょう。クリニックでお待ちしております。