福岡天神内視鏡クリニックブログ

若年性大腸がんが増えているのはあの飲み物のせい?

おはようございます。医師の秋山です。

 

私は年間4,500例以上の内視鏡検査を行っていますが、日々内視鏡検査を行っていて実感するのが

「若年性大腸がんが増えている」ことです。

若年性大腸がんとは、50歳未満の大腸がんを意味します。

これは本当に昔より確実に増えています。

 

世界中でもそう考えている研究者は多く、実際、世界的に若年性大腸がんが増加傾向であるという報告があります。

Spaander MCW,et al,” Young-onset colorectal cancer”,Nat Rev Dis Primers.2023 Apr27;9(1):21.

 

そして、日本でも若年性大腸がんが増加傾向であるという報告もありました。

Chen J,et al,” Comparing cohort and period trends of early-onset colorectal cancer: a global analysis” JNCL Cancer Spectr.2024 Jul1;8(4):pkae052.

 

それではなぜ若年性大腸がんが増えているのでしょうね。

色々と研究されていますが、個人的にはやはり原因の1つは食べ物だと思います。

この飽食の時代ですから、食べ物が影響していることは否定できないでしょう。

 

その中でも注目されているのが、加糖飲料です。ブドウ糖に加え果糖も入った飲み物です。

コーラ、サイダー、スポーツドリンク、ジュース、加糖コーヒーなど。。。

子供から大人まで大好きな飲み物ですよね。

 

日本人を対象とした研究なんですが、1日あたり134ml以上の加糖飲料を摂取すると、大腸がんリスクが1.36倍高くなるという報告があります。

Leung CY,et al,” Sugary Drink Consumption and Subsequent Colorectal Cancer Risk: The Japan Public Health Center-Based Prospective Cohort Study” Cancer Epidemiol Biomarkers Prev.2021 Apr;30(4):782-788.

 

そして最近報告された論文報告でも興味深い結果でしたので提示します。

マウスの実験ですが、大腸がんを注入したマウスに水のみのグループ、ブドウ糖のみのグループ、ブドウ糖+果糖のグループに分けてそれぞれを溶かして飲ませたところ、ブドウ糖+果糖のグループが一番大腸がんの肝臓への転移が多かったとのことでした。

Feng T,et al,” Fructose and glucose from sugary drinks enhance colorectal cancer metastasis via SORD” Nat Metab.2025 Sep19. doi: 10.1038/s42255-025-01368-w. Online ahead of print.

 

なぜそうなるかということまで言及されていましたが非常に難しい内容だったので、シンプルに分かりやすく説明すると、

通常、がん細胞はその場である程度増殖してからどんどん範囲を広げていく、といったイメージですが、加糖飲料を取り込んだがん細胞は、ソルビトール脱水素酵素(SORD)を介した代謝が引き金となり、早い段階からがん細胞が周囲にどんどん浸潤していく力が強まる、ということでした。

 

なるほどですね。だから転移が多かったのも納得です。

もちろん、マウスレベルの実験なので、ヒトにそのまま当てはまるとはまだ言えないです。

 

ただ、私たちは子供の頃から甘いジュースを毎日のように飲んでいましたよね。

それがボディブローのようにダメージが蓄積され、若年性大腸がんの原因になっているとしたら・・・怖いですよね。

 

今からでも遅くはありません。加糖飲料はほどほどにしましょう。

以上、若年性大腸がんの話でした。

 

ワークライフバランスがトレンドになってますね。ワークライフバランスは現代社会では重要な働き方です。

私個人はゾスの精神で突っ走りたいと思います。

 

それでは今週も頑張りましょう。クリニックでお待ちしております。

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。