福岡天神内視鏡クリニックブログ

うま味調味料は腸内環境に影響するのか?

おはようございます。医師の秋山です。

 

さて、今回はうま味調味料=グルタミン酸ナトリウムの話をしたいと思います。

うま味調味料って便利ですよね。これを一振りだけ料理に入れるだけでも随分と美味しくなります。

ただ、このうま味調味料ですが、今でも否定派と肯定派に分かれており、実際のところ体に良いのか悪いのかわからない人も多いのではないでしょうか。

 

最近の論文報告を読んでみると、高容量のグルタミン酸ナトリウムを摂取させたラットは、肥満、脂肪肝、糖尿病を発症しやすくなるという報告がありました。

Kahe K,et al,“Monosodium glutamate: A hidden risk factor for obesity?” Obes Rev. 2025 Jun;26(6):e13903. doi: 10.1111/obr.13903. Epub 2025 Feb 6.

 

高容量がどの程度かはよく分からないですよね。例えば某メーカーのうま味調味料だと、一振りで0.1gのグルタミン酸ナトリウムを使用することになるとのことです。大体1品の料理で2~3振り使うとすると、1日3品食べるとしても、約1g程度でしょうか。

その程度であればまずは問題ないような気がします。

また、このデータは動物実験によるものですので、これがそのままヒトに当てはまるかはわからないのが現状です。

 

それでは、うま味調味料=グルタミン酸ナトリウムは、腸内環境に影響を及ぼすのでしょうか?気になったので調べてみました。

最新の論文報告によると、動物実験では、高容量のグルタミン酸ナトリウム摂取によって腸内細菌の善玉菌が減って腸内環境が悪くなったという報告がありました。ヒトの研究では、グルタミン酸ナトリウムを1日2g摂取を4週間続けても腸内環境は変わりなかったとのことです。

Ahangari H,et al,” Association between monosodium glutamate consumption with changes in gut microbiota and related metabolic dysbiosis-A systematic review” Food Sci Nutr.2024 Apr29;12(8):5285-5295.

この辺りの研究に関してはまだ結果が定まっていない感じですね。

ただ、うま味成分であるグルタミン酸は小腸の粘膜上皮のエネルギーになりますので、食べ物からグルタミン酸を摂取する必要はあるんですよね。

 

個人的には、うま味調味料は、砂糖や塩などの調味料と同じ部類だと思っています。

適量使う分には問題ないが、使いすぎると害を及ぼしますよ、と言う意味です。

砂糖も塩も、我々の食事には欠かせない調味料ですが、当然ながら使いすぎると良くないですよね。

皆さんもうま味調味料は適度に使用するようにしましょう。

 

それでは今週も頑張りましょう。クリニックでお待ちしております。

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。