おはようございます。医師の秋山です。
皆さんはキャベツは好きですか?私は好きです。
キャベツはクセもなく、食べやすいですよね。千切りにすれば沢山食べることができます。

さて、最近読んだ論文の中で、興味深い論文がありましたので解説したいと思います。
アブラナ科の野菜(キャベツ、ブロッコリー、カリフラワーなど)を食べると、大腸がんが予防できるという論文です。
Lai B,et al,” Cruciferous vegetables intake and risk of colon cancer: a dose-response meta-analysis” BMC gastroenterology. 2025 Aug 11;25(1);575. pii: 575.
具体的に説明します。
この論文は、過去に報告された17件の研究報告をまとめたもので、アブラナ科の野菜をどれくらい食べたら大腸がんが予防できるかを報告してます。
結論としては、アブラナ科の野菜を一番少なく食べているグループに比べ、一番多く食べているグループの方が、大腸がんのリスクが約20%低下したとのことでした。
そして私が一番驚いたのが、アブラナ科の野菜の摂取量が、1日20gからリスクの低下が見え始めたとのことです。
結論としては、1日40g~60gの摂取が一番リスク低下の効果が高いとのことでした。
これはすごいです。普通、この手の論文って、1日の摂取量がかなり多くなりがちで、
「ちょっとそんなに食べられないよ」
というレベルのことが多いです。
ところがこのアブラナ科の野菜を1日40g~60gというのはかなり少ないです。
例えば、コンビニやスーパーでよく売ってる「千切りキャベツ」ですが、1袋で大体150g程度です。
つまり、1日1/3袋も食べれば大腸がんのリスクが下がることになります。
これくらい余裕で食べられるような気がしますね。
それでは、なぜアブラナ科の野菜が大腸がんを予防できるのでしょうか?
アブラナ科の野菜には、グルコシノレートという成分が含まれており、咀嚼によって、同じく野菜の中に含まれるミロシナーゼという酵素により、スルフォラファンという物質に変わるんです。このスルフォラファンが抗酸化作用、抗炎症作用、抗がん作用を持っているんですね。
そしてこのミロシナーゼという酵素ですが、70℃以上になると失活してしまうと言われています。
「じゃあ生で食べるしか効果ないじゃん」
と思いがちですが、実はそうでもありません。
実は、我々の腸内細菌もミロシナーゼ様酵素を持っているんです!
腸内細菌の多様性が高い人は、加熱調理したアブラナ科の野菜を食べてもスルフォラファンの様な物質を作ることが報告されています。
Bouranis JA,et al,” Composition of the Gut Microbiome Influences Production of Sulforaphane-Nitrile and Iberin-Nitrile from Glucosinolates in Broccoli Sprouts” Nutrients.2021 Aug28;13(9):3013.
いいですね。普段から腸活している人は、ある程度加熱したキャベツやブロッコリーを食べても、抗がん物質を作ることができるということになります。
そして腸活していない人、あるいは腸内環境に自信がない人は、サラダで摂ってみましょう!
普段から野菜をあまり食べない人も、少しの千切りキャベツで大腸がんのリスクを下げることができます。
ぜひ今日から食べてみましょう。
それでは今週も頑張りましょう。クリニックでお待ちしております。