新年明けましておめでとうございます。
今年も福岡天神内視鏡クリニックをよろしくお願いします。
さて、新年一発目のブログですが、今回は運動とがんの関係について解説していきたいと思います。

「運動ががん予防になる」
というのは誰でも聞いたことがあると思います。
実際、国立がん研究センターの多目的コホート研究(JPHC Study)でも、中高強度身体活動は、男女ともに、なんらかのがんのリスクを低下させるという報告があります。
また、以前も解説しましたが、1日5,000歩〜7,000歩の歩行で全死亡率の低下を認め、その中でがん死亡率も約37%もリスクが低下するという報告がありました。
Ding Ding, et al,” Daily steps and health outcomes in adults: a systematic review and dose-response meta-analysis” Lancet Public Health, 2025 Aug;10(8):e668-e681.
さらに運動は、がん予防だけでなく、がんに罹患した後も、運動によりがんの増殖を抑えられるという報告もあるんです。
でも、そもそもなぜ運動ががん予防、そしてがんの増殖を抑えられるんでしょうか?
一番有名なのは、運動することで筋肉から分泌されるホルモンの存在です。
運動をすると、筋肉からマイオカインというホルモンが分泌されます。その中の1つであるSPARC(スパーク)というホルモンは、大腸がんを防ぐことが分かっています。
そして最近出た論文で、非常に面白い報告があったので紹介したいと思います。
Leitner BP,etl al,” Precancer exercise capacity and metabolism during tumor development coordinate the skeletal muscle-tumor metabolic competition” Proc Natl Acad Sci U S A. 2025 Dec 9;122(49)
これはマウスの実験なのですが、がんに罹患したマウスを、あのクルクル回転するホイールで走らせると、筋肉や心臓へのグルコースの取り込みが増加し、がんへのグルコースの取り込みが低下したとのことでした。(がんは、糖をエサにして増殖します)
つまり、運動することで、エネルギー源であるブドウ糖が、優先的に筋肉や心臓で使われるようになったとのことです。
言い換えれば、運動することで「がん」を兵糧攻めにすることができます。
そしてこの運動の「兵糧攻め」のメカニズムですが、がんの増殖抑制のほかに、がんの予防についても説明が可能です。
人間は毎日どこかでがん細胞ができています。これを我々の免疫力で攻撃して消滅させているのですが、それに加え、普段から運動をすることで筋肉を使っていれば、筋肉がエネルギーを効率よく消費することにより、がん細胞がエネルギーを使って成長する時間を与えないようにするわけです。
理屈としては非常に単純ですが、面白いですよね。
まとめると、がんの予防、およびがんの増殖を抑制するメカニズムは
①筋肉から分泌されるホルモンによりがんの増殖を抑える
②「運動を継続的に行うことで、がん細胞にエネルギーを与えないような環境を作る。」
これらにより、がんの予防になり、がんの進行抑制にもなるんです。
いかがだったでしょうか。
がんを予防するために、そしてがんをこれ以上成長させないために、今日から適度な運動を行いましょう。
福岡院は本日から2026年の診療開始です。クリニックでお待ちしております。