福岡天神内視鏡クリニックブログ

脂肪肝の原因とは

こんにちは、医師の中島です。

 

今回は脂肪肝の原因についてのお話です。

 

脂肪肝の原因は脂質より糖質の摂りすぎ⁈

脂肪肝の原因の一つとして多くの方がイメージするのは飲酒だと思いますが、決して「お酒を飲まないから安心」というわけではありません。

たしかに、アルコール性肝障害と診断される人の9割以上が脂肪肝も抱えています。アルコールは肝臓で脂肪をつくるスイッチを入れ、肝臓内の脂肪酸を増やすだけでなく、脂肪をエネルギーに変える変化を妨げる作用もあります。なので、お酒を飲んでいる人が脂肪肝を本気で改善しようと思うなら、節酒 or 禁酒が不可欠なのです。

 

一方、近年はアルコールをほとんど飲まないのに発症する「MASLD(マッスルド:代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)」が急増しています。

これは、2024年8月頃まで「NAFLD(ナッフルド:非アルコール性脂肪性肝疾患)」と呼ばれていた脂肪肝とほぼ同じ疾患概念で、脂肪肝に加え、肥満、耐糖能異常、高血圧、高中性脂肪血症、低HDL血症のいずれかを併発している疾患を指します。

これは、欧米ではNAFLDの「A」を指す「Alcoholic」は「飲んだくれ」、「F」を指す「Fatty」は「太っちょ」のような意味合いも持つため、社会的な偏見を生む可能性が指摘され、変更された経緯があります。

 

「甘い飲み物」は肝臓の大敵

MASLDの最大の原因の一つが、トウモロコシやじゃがいもなどから人工的に作られた液体のシロップである「果糖ブドウ糖液糖」です。果糖とブドウ糖のダブルの糖が入っていて、清涼飲料水やスポーツドリンク、ジュース、加工食品などに多く含まれています。

なぜ果糖ブドウ糖液糖が危険なのか

果糖(フルクトース)は最も肝臓にダメージを与える糖質です。そのポイントは果糖の代謝経路にあります。ブドウ糖(グルコース)は筋肉や脳など全身で使われますが、果糖はほぼ100%が肝臓で代謝されます。果糖はブドウ糖よりも中性脂肪の合成に使われやすく、過剰に摂取すると肝臓に脂肪が蓄積し脂肪肝のリスクが高まります。

肝臓に一番よくないのは “液体の果糖”が入った飲み物です。果糖ブドウ糖液糖を含む飲料は小腸で急速に吸収され、門脈を通じて一気に肝臓へと運ばれます。短時間に大量の果糖から大量の脂肪を合成・蓄積することになり、肝臓に大きな負担がかかります。肝機能を示すASTやALTが高い人は、甘い飲み物をやめるだけでも数値が下がるといわれています。

健康に良さそうなイメージのある100%フルーツジュースにも注意が必要です。果実に本来含まれている食物繊維が除去されているため、果糖の吸収が速くなり、肝臓への負担は大きくなります。

また、熱中症予防として果糖ブドウ糖液糖を含むスポーツドリンクを日常的に飲んでいると、知らずしらずのうちに果糖を摂りすぎている可能性があります。実際、ジュースやスポーツドリンクなどを習慣的に摂取している人は、脂肪肝のリスクが約2倍になるという研究結果も報告されています。

乳酸菌飲料や野菜ジュースなど身体に良さそうな飲み物の中にも果糖ブドウ糖液糖を含むものが多いので注意しましょう。

一部の国では糖度の高い飲み物に規制をかける動きが出ているものの、少量摂取する分には有害とは言い難く、健康リスクが高いものという認識が世の中になかなか広まっていないのが現状です。

 

いかがでしたか?

普段、口にしている飲み物を見直す機会になれば幸いです。

 

週の中日ですね、一息ついて後半もがんばっていきましょう。

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