おはようございます。医師の秋山です。
さて、今回は、腸内細菌の驚きの能力について解説をしたいと思います。
以前、私は、腸内細菌はビタミンを産生するという話をしました。
腸内細菌は8種類のビタミンB群とビタミンKを産生するんでしたね。
それ以外にも、実は腸内細菌は、タンパク質の材料であるアミノ酸も作っているんです。

アミノ酸は20種類あると言われています。そしてそれは大きく2つに分けることができます。
①必須アミノ酸→人間が作ることができないアミノ酸。食事から摂る必要がある。9種類あり。
②非必須アミノ酸→人間が肝臓や筋肉などで作ることができるアミノ酸。11種類あり。
に大きく分けることができましたね。
実は、腸内細菌は、この20種類のアミノ酸のほぼ全てを自分で作ることができると言われています。
ん?でも必須アミノ酸って人間が体内で作ることができず、食べ物から摂らないといけないから必須アミノ酸と呼ぶんでしたよね?
そうなんです。ちょっとややこしいですが、人間は必須アミノ酸を作ることができないのですが、腸内細菌は作ることができるというロジックです。
実は腸内細菌は、自分達でこのアミノ酸を作り、主に自分たちで使ってます。
それでは具体的にどの様なことに使っているのかというと、以下ような用途でアミノ酸を利用しています。
A.自分たちの体を作る
→腸内細菌は寿命が数日程度ですので、次から次に分裂します。腸内細菌も主にタンパク質でできてますので、自分たちの体を作るのにアミノ酸が必要なんですね。
B.分たちのエネルギー源にする
→普段、腸内細菌は我々が食べたものをエサにしてるのですが、食べ物を食べていない時間帯は、自分たちが作ったアミノ酸をエネルギー源にします。
C.腸内環境を良くする
→自分たちが住んでいる腸内環境を良くするために、腸管のバリア機能を強化したり、抗菌ペプチドを作って免疫力をあげたり、短鎖脂肪酸を作ったりして腸内環境を良くしようとします。また、腸上皮細胞の再生に利用されたり、粘液分泌促進のために利用されたりもします。
まとめると、腸内細菌はアミノ酸を自前で作るのですが、主に自分のために利用しているということになりますね。
もちろん、腸内細菌がアミノ酸を作るには、炭素(C)と窒素(N)が必要になりますので、食べ物から糖(この場合は発酵性食物繊維)とたんぱく質が必要になってきます。これらをエサにして作るんです。
腸内細菌を守るために、皆さんも普段から栄養バランスを考えて食事を摂るようにしましょう!
それでは今週も頑張りましょう。クリニックでお待ちしております。