福岡天神内視鏡クリニックブログ

GLP1ダイエットで老け顔になっていく?

おはようございます。医師の秋山です。

 

さて、皆さんは巷で流行している痩せ薬をご存知でしょうか?

「GLP1ダイエット」とも言いますよね。これは、痩せ薬が「GLP1受容体作動薬」と呼ばれているからです。

この薬は飲み薬と自己注射薬があります。オンライン診療でも気軽に手に入りますので、特に女性に大人気なんです。最近では、肥満の人だけでなく、痩せ型の人もこの痩せ薬を使ってます。

「とにかく痩せたい!」という願望は体型にはあまり関係しないのかもしれませんね。

 

そして福岡院では、胃カメラ検査を受けられる患者さんには必ずこの「GLP1受容体作動薬」を使用してるかどうかを問診しています。

 

なぜかというと、この薬は胃の動きが悪くなるため、食べたものが数日胃の中に残っているからなんです。

胃カメラ検査は、検査前日の夕食後から検査時間まで絶食しておけば、胃の中は空っぽになってるのですが、このGLP1受容体作動薬を使用していると、これくらいの絶食では間違いなく胃の中に食べ物が残っており、胃の中が詳しく観察できなくなるんです。

 

さて、そんな痩せ薬ですが、最近、ちょっと気になる論文報告があったので取り上げてみたいと思います。

実はちょっと前から、このGLP1受容体作動薬を使って痩せると、「年齢以上に顔がこける」「老けて見える」といった現象が起こると言われてました。つまり、体幹より顔の脂肪から減っていくんですね。

なぜこのようなことが起こるのか分かってなかったのですが、最近でた論文でそのメカニズムが発表されています。

Kruglikov IL,et al,” Mechanisms of Glucagon-Like Peptide 1 Receptor Agonist-Induced Facial Lipodystrophy and a Path Toward Prevention” J Cosmet Dwrmatol.2025 Dec;24(12):e70584.

具体的に、痩せ薬を使用することにより、全身の脂肪量の平均減少量が約9%ほどであったとのことですが、顔の脂肪量だけで使用前の40~70%も減少していたとのことなんです!全身の脂肪量減少を大きく上回る数字ですよね。

これはただ単に痩せたことによって顔がこけたのではなく、何か別の理由があるからではないか?とのことでした。

そしてそのメカニズムですが、以下ように説明されています。

 

まず、顔の脂肪は、皮膚の表在層と深部層で性質が違うとのこと。

そして

①表在層の脂肪は食事量が減ることですぐに減ってしまう。

→痩せ薬では胃の中に食べ物がいつまでも残るため、食欲が落ちます。これにより食事量が減って、顔の皮膚の表在にある脂肪がすぐに減ります。

②深部層の脂肪は、痩せ薬が作用するGLP1受容体が多く存在しており、痩せ薬を使用することによって深部層の脂肪まで減ってしまう。

③表在層と深部層の脂肪がどちらも急激に減少することにより、脂肪を支えているコラーゲン繊維が変化する。

以上により、顔がこけて、たるみやしわの原因になってしまうということです。

 

いかがだったでしょうか。

 

痩せ薬でせっかく痩せたのに、老け顔になってしまう可能性があります。

痩せ薬はよく考えて使用しましょう。

 

それでは今週も頑張りましょう。クリニックでお待ちしております。

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。