福岡天神内視鏡クリニックブログ

機能性疾患って知ってますか?その2

おはようございます。

前回、器質的疾患と機能性疾患に関してお話しました。

今回は胃の機能性疾患である機能性ディスペプシアについて簡単にお話したいと思います。

 

機能性ディスペプシア(functional dyspepsia:FD)は、胃もたれや胃痛、早期膨満感などの胃の不快な症状があるにもかかわらず、胃カメラ検査を行っても症状の原因となる異常が何も無い場合に診断される病気です。

胃カメラ検査をしても胃潰瘍や胃がんなどの症状の原因となる器質的疾患はなく、胃の不快な症状だけがある病態なので前回お話した機能性疾患に該当する病気です。

 

日本人の約10人に1人が機能性ディスペプシアと診断される症状があると考えられています。特に若い女性に多くみられると言われており、仕事や勉強に集中できない、食事が食べられず身体がキツいなど命に影響を及ぼす病気ではありませんが、生活の質を著しく損なう病気です。

 

ストレス、過食や不規則な食生活、喫煙、過度なアルコール摂取などが原因となると考えられています。

 

機能性ディスペプシアになると、次の3つの異常が胃に起こるため症状が出現すると考えられています。

 

①胃の上部の膨らみ不良

正常な胃では、食事摂取で胃の上部が反射的に広がり、そこに食事をためて、その後徐々に胃の下部で粥状になるまで消化して胃から出ていくようになっていす。しかし、機能性ディスペプシアでは、この胃の上部の広がりが悪いため、食事をあまりためることが出来ず、すぐお腹が一杯になります。これが少しの食事でお腹がいっぱいになり食べられなくなる早期膨満感の原因です。

 

②胃の運動機能異常

正常な胃では胃が波打つように動いて食べ物を消化しながら、胃から十二指腸に送っています。

しかし、機能性ディスペプシアでは、この胃の動きが悪くなるため、食べ物が胃の中に長く残りやすく、この結果、胃もたれ症状が出現します。

 

③胃の知覚過敏(胃酸への感受性増加)

正常な胃は、胃酸が分泌されても胃粘膜は痛みを感じません。

しかし、機能性ディスペプシアでは、胃が胃酸に対して知覚過敏を起こすため、胃酸が分泌されただけで胃痛を感じるようになります。

 

 

機能性ディスペプシアでみられる症状は、逆流性食道炎やヘリコバクター・ピロリ菌感染、進行胃がんなどでもみられる症状です。機能性ディスペプシアは、若い人に見られやすい病気のため、これらの症状があっても、若いからストレスに違いないとついつい様子を見てしまいがちですが、前回もお話したように若くても胃がんなどの原因となる病気が隠れていることもあります。

このため、これらの症状が続く場合は、一度胃カメラ検査で症状の原因となる異常が無いかを調べるのが大切です。このような症状で悩んでいる場合は、一度お気軽にご相談ください。

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。