ヤセ菌、デブ菌という概念が覆されてます。
おはようございます。医師の秋山です。
さて、今回は腸内細菌の「ヤセ菌」と「デブ菌」について話をしたいと思います。
一般的に
ヤセ菌→バクテロイデーテス門に属する菌
デブ菌→ファーミキューテス門に属する菌
と言われています。
どちらも腸内細菌の日和見菌に属する菌です。
皆さんも一度は「ヤセ菌」と「デブ菌」という言葉を聞いたことがあるのではないかと思います。
「腸の中にヤセ菌が沢山いると痩せやすく、デブ菌が沢山いると太りやすい。」
そんなフワッとしたイメージですよね。
そもそもこの「ヤセ菌」と「デブ菌」の概念ですが、2006年にアメリカの研究者の間で言われるようになり、一気に世界中に広まりました。
「痩せて綺麗になりたい、健康になりたい」という欲求は全世界共通なんでしょうね。
ところが、このヤセ菌とデブ菌ですが、最近の研究では、この概念は当てはまらないという結果が出ています。
(Naofumi Y, et al;Biosci Microbiota Food Health.2022;41(2):45-53)
2022年の神戸大学の研究チームの論文です。簡単に結果を説明すると、日本人6,101名を調査した結果、肥満体型の方が、ヤセ菌であるバクテロイデーテス門の割合が多かったんです。
参考までに、私の腸内細菌叢は、ヤセ菌であるバクテロイデーテス門より、デブ菌であるファーミキューテス門の方が割合は多いです。
私は痩せ型ですので、神戸大学の論文結果と合致することになります。
また、さらに最近の論文でも、ヤセ菌であるはずのバクテロイデーテス門は、食べ物からより多くのエネルギーを吸収するため、痩せるどころか逆に太りやすいという衝撃的な結果も出ています。
(Boekhorst J,et al; Microbiome. 2022 Dec 12;10(1);223)
つまり、今までのヤセ菌、デブ菌という概念が完全に覆された結果なんです。
医療情報というのは数年前の概念はすぐに覆されます。常に知識のアップデートが必要です。
もう「ヤセ菌」「デブ菌」と呼ぶのはやめたほうが良さそうですね。
これからもup to dateな医療情報を提供していきたいと思います。
それでは今週も頑張りましょう。クリニックでお待ちしております。
