福岡天神内視鏡クリニックブログ

胃炎について①

みなさんこんにちは。
萱嶋です。

春らしい気候となり、気持ちの良い日が続いています。
東京では桜が開花したようです。

皆さんは「胃炎」と診断されたことはありますか?
「胃炎」と医師から診断されたことがある方は、少なくないと思います。
実は、胃炎にはさまざまな種類があります。
その種類によって、内視鏡での見え方は違いますし、原因も異なります。
胃炎の種類などは後日お話させていただきたいと思います。

今回は、特殊な胃炎についてお話ししたいと思います。

StricklandとMackayという医師が定義した胃炎の分類があります。
A型胃炎(≒自己免疫性胃炎)とB型胃炎です。
形態だけでなく、機能面を考慮して作成された自己免疫という発生要因と炎症の局所解剖的な部位に着目し, 慢性胃炎をA型胃炎、B型胃炎に分類しました。

A型胃炎は
自己の壁細胞(胃酸を分泌する細胞)に対する抗体が作製される自己免疫機序が考えられています。炎症は胃の上部2/3が主です。
B型胃炎は
通常の萎縮性胃炎で、高酸を呈するため十二指腸潰瘍を発症します。ピロリ菌による胃炎もこのタイプに含まれます。炎症は胃の下部1/3から始まります。

B型胃炎は、ほとんどが一般的なピロリ菌感染による胃炎です。
A型胃炎は特殊な胃炎で、頻度は多くありませんが、近年注目されています。
以前は、稀な胃炎と言われていましたが、
内視鏡と診断学の進歩により、これまでの報告より頻度は高いのではないかと言われるようになってきました。

原因不明の貧血がA型胃炎の影響であったり、
慢性甲状腺炎や1型糖尿病、胃癌がA型胃炎と関連があったり、
ピロリ菌の除菌不成功がA型胃炎の影響であったり、

と意外と関連ある方がいるのではないでしょうか。
頻度はそれほど多くありませんが、身近な胃炎ではないかと思っています。

前記の影響や関連がわかることにより、適切な治療やフォローアップが可能です。
特殊な胃炎ですが、A型胃炎を診断することは非常に意味があると思っています。
次回はA型胃炎について、さらに詳しくお話ししたいと思います。

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。