福岡天神内視鏡クリニックブログ

胃炎について②

みなさんこんにちは。

萱嶋です。

 

めっきり春らしい気候となり、気持ちの良い日が続いています。

福岡でも桜が開花し、週末には満開が予測されています。

 

今回は前回(2023.03.15)から引き続き

A型胃炎(≒自己免疫性胃炎)についてです。

 

A型胃炎は

炎症の主体が胃底腺領域(胃の上部2/3)で、高ガストリン血症(胃酸を産生するホルモン)を特徴とし、その発症には自己の壁細胞(胃酸を分泌する細胞)に対する抗体が作製される自己免疫機序が考えられています。

A型胃炎による影響について、述べていきます。

① 貧血

自己の壁細胞(胃酸を分泌する細胞)に対する抗体がつくられる

ビタミンB12や鉄の吸収障害

ビタミンB12 ⇩

胃壁細胞で産生される内因子 ⇩

巨赤芽球性貧血(悪性貧血)

となります。

胃や大腸など消化管から出血していなくても、貧血になります。

原因不明の貧血にA型胃炎が関与している場合があります。

内視鏡できちんと検査すれば、A型胃炎を疑うことができます。

 

② 併発疾患

自己免疫疾患

甲状腺(慢性甲状腺炎, Basedow病)

膵臓(1型糖尿病)

胃以外の悪性腫瘍

などを併発することがあります。

胃以外の病気にも気をつけなければなりません。

 

③ ピロリ菌除菌不成功が続く(泥沼除菌)

A型胃炎のため,胃内に全く酸がない状態となり胃酸による殺菌作用が失われる

ピロリ菌以外の他の細菌が棲息できる
(ウレアーゼ活性を有する細菌が存在)

ピロリ菌が感染したA型胃炎では、

一次除菌、二次除菌を経てピロリ菌が陰性になっても、
無酸のために尿素呼気試験(ピロリ菌除菌判定検査)は陽性が続き、
除菌失敗と判断

されてしまいます.

さらに、二次除菌失敗した方の実に20%はA型胃炎だったという報告もあります。
二次除菌を失敗している方は、A型胃炎かもしれません。

 

A型胃炎は内視鏡検査と血液検査を組み合わせることによって診断できます。

消化管出血のない原因不明の貧血や二次除菌を失敗している方は、A型胃炎かもしれません。

ぜひ当院にお越しいただき、内視鏡検査を行ってみてください。

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。