みなさん、こんにちは
萱嶋です。
地球温暖化が止まりません。
命の危険を感じる夏となっています。
今回も便秘について、引き続き概説いたします。
便秘の治療の続きです。
⑤漢方薬
・大黄甘草湯
大腸刺激性
大黄の含有量が多く、主成分はセンノシドです。
甘草の含有割合が高いです。
・桃核承気湯
大腸刺激+塩類下剤
大黄に加え、芒硝(硫酸ナトリウム)を有し、酸化マグネシウムと同様の作用が期待されます。
甘草も含まれています。
女性で比較的体力がある方が適応とされています。
・防風通聖散
大腸刺激+塩類下剤
大黄に加え、芒硝、当帰、芍薬、甘草も含まれています。
肥満を伴う便秘症に使用される場合が多いです。
・調胃承気湯
大腸刺激+塩類下剤
大黄に加え、芒硝、当帰、芍薬、甘草も含まれています。
・潤腸湯
クロライドチャンネル刺激
大黄、枳実、麻子仁、当帰、甘草が含まれています。
・麻子仁丸
軟便化作用
大黄、枳実、麻子仁、芍薬が含まれています。
甘草を有していないことから、偽アルドステロン症(電解質異常が出現します)のリスクが少ないです。
麻子仁に含まれる脂肪油、精油によって便軟化作用が期待されます。
腸管の過緊張や痙攣を伴い、糞便通過が遅くなり、コロコロした乾燥便に効果的と考えられています。
・桂枝加芍薬大黄湯
整腸作用
大黄、芍薬、甘草が含まれています。
芍薬は平滑筋の緊張をやわらげる作用があります。
便秘型過敏性腸症候群が疑われる場合、痛みの軽減と排便が期待されます。
・桂枝加芍薬湯
整腸作用
芍薬、甘草が含まれています。
大黄を含有せずマイルドな整腸作用が期待されます。
痛みを伴う過敏性腸症候群に効果が期待されます。
・大建中湯
消化管運動促進、血流増加
山椒が含まれています。
大黄を含有せずマイルドな整腸作用が期待されます。
腹部膨満を伴う便秘に効果が期待されます。
直腸感覚閾値を下げることで、便意を感じやすくします。
・大柴胡湯
大腸刺激性、消化管運動促進
大黄、枳実、芍薬が含まれています。
体力が充実していて、腹壁からみぞおちあたりにかけて苦しく、便秘の傾向があり、胃炎、高血圧や肥満に伴う肩こり、頭痛、神経症、肥満に効果があるとされています。
大黄を含む生薬は、連用すると大腸偽メラノーシスとなり、長期の服用は避けた方がいいでしょう。
また、甘草を含む生薬は偽アルドステロン症(低カリウム血症)に注意が必要です。
2種類以上の漢方薬を同時に服用すると、効果が重複し副作用の危険性が高くなります。
日本の便秘患者さんは1000万人以上といわれています。
便秘の原因を適切に診断し、適切な治療を受けることが重要です。
便秘で悩まれている方は、消化器疾患に精通したクリニックを受診しましょう。