福岡天神内視鏡クリニックブログ

グルテン②

みなさんこんにちは。

萱嶋です。

 

2月ですが、なんとなく春の息吹を感じることがあります。

まだ寒い日が続きます。

体調管理に十分気を付けてください。

 

前回は、グルテンとは何かについて、少々述べました。

小麦製品のおいしさには欠かせないグルテンですが、一方で悪影響もあります。

 

 

最も知られているのは、食物アレルギーの原因となることです。

小麦アレルギーをはじめ、セリアック病、グルテン不耐性などグルテン関連のアレルギーは非常に多く存在します。

 

今回はセリアック病について、詳しく述べます。

 

セリアック病とは

「グルテン」に対して、誤って免疫反応を起こしてしまうことから引き起こされる病気を指します。「小児脂肪便症」、「グルテン過敏性腸症」、「グルテン不耐症」と検索されていることも多いようです。

セリアック病で免疫反応が生じる結果、小腸が障害を受けてしまい栄養の吸収に支障が生じることになります。

 

原因

グルテンが免疫系を刺激して、特定の抗体を生産します。

この抗体によって小腸粘膜が損傷し、絨毛(小腸内面にある栄養素を吸収する小さな突起)を平坦にしてしまいます。

その結果表面が滑らかになることで、 栄養素の吸収不良が起こります。

 

症状

慢性的な下痢、体重減少、成長障害などですが、こうした重症例は比較的まれな部類に入ります。

より一般的な症状としては、便秘、お腹がはった感じ、疲れやすさ、頭痛、腹痛など、誰でも一度は経験したことがある、とてもありふれた症状です。

また、身体に必要な鉄、カルシウム、ビタミン、その他各種栄養素が吸収障害を受ける結果として、鉄欠乏性貧血、骨粗しょう症、口内炎、脱毛、皮膚の萎縮、手足の感覚障害、慢性的な肝障害なども発症することが知られています。

 

診断

セリアック病は、萎縮した小腸を顕微鏡的に確認することから診断されます。

しかし、腸の組織を実際に採取するのは侵襲性が高く、実施にあたり困難な場合もあります。

そのため、血液検査にてトランスグルタミナーゼと呼ばれる酵素に対する抗体が存在しているかどうかを確認することもあります。

こうした検査に加えて、臨床症状やそのほかの合併症などの情報をもとに、セリアック病の診断がなされます。

セリアック病を疑う所見は、胃カメラでも観察できます。十二指腸に萎縮した絨毛が見られます。その際、生検組織検査することも可能です。

 

治療

グルテン除去食

セリアック病の場合は、少量のグルテンを摂取しただけで症状が出ることがあるため、グルテンを含む食物をすべて避けなければなりません。

グルテン除去食により、数日から数週間の間に症状や小腸粘膜萎縮の改善をみることができる場合もあります。

グルテンは様々な食品中に広く含まれているため、グルテン除去を完全に行うには、難しい側面も多いことが知られています。

 

次回は
グルテンの摂取により「リーキーガット」について、お話しします。

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。