おはようございます。医師の秋山です。
さて、皆さんは食物繊維を意識して摂ってますか?
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」(2020年版)では、食物繊維の1日の摂取目標量として、女性18g以上、男性21g以上を提唱しています。
しかしながら、日本人の食物繊維の1日平均摂取量は、1990年代は20gを超えていたのですが、現在は1日平均摂取量13.7gとかなり少なくなっているんです。
もちろんこれは、食生活の欧米化に伴い、穀類、芋類、豆類の摂取量減少によるものと考えられています。
おそらく皆さんも、「食物繊維を摂った方が健康には良いんだろうな」と思っているのではないでしょうか。
実際、食物繊維をたくさん摂ることで、全死亡率が低下したという報告があります。
それでは、なぜ食物繊維を摂ると健康になるのでしょうか?
「それはもう、食物繊維が善玉菌の餌になるからでしょ!」
と思っている方、正解です!
食物繊維を摂ることで、善玉菌の餌になり、腸内環境が良くなって、あらゆる病気を予防してくれると言われています。
ただ、それだけではないんです。
腸内細菌は、人間がストレスを抱えたり、疲れてたり、病気になったりした時に腸内環境が悪くなります。腸内環境が悪くなると、さらに上記のような症状が悪化していくんですね。いわゆる負のスパイラルに陥っていくんです。
それをなんとか改善させるために、腸内細菌が元の健康だった時の腸内環境に戻ろうと頑張ります。
これを「レジリエンス」と呼ぶのですが、食物繊維をたくさん摂ることでこの「レジリエンス」の能力が高くなるんです。
さらに恐ろしいことに、食物繊維が不足していると、腸内細菌はお腹が空きますので、腸管に存在している粘液層を餌にして食べてしまうんです。
この腸管粘液層は、腸のバリアの役目を果たします。これが少なくなってしまうと、「リーキーガット症候群」といういわゆる「腸漏れ」を起こしやすくなり、腸内に溜まった有害物質が全身に回ってしまい、様々な疾患を誘発してしまうことになるんですね。
昔は栄養分のない食べ物の残りカスと思われていた食物繊維が、こんなに私達の健康に寄与しているとは思いもしませんでした。
次回は具体的に、どのような食物繊維を摂ったら良いかを解説したいと思います。
それでは今週も頑張りましょう。クリニックでお待ちしております。