おはようございます。医師の秋山です。
いきなり質問です。
「腸内細菌の代表的な善玉菌と言えばなんでしょうか?」
皆さんもご存知の通り、善玉菌の3トップは
「酪酸菌」「乳酸菌」「ビフィズス菌」です!
この3トップを増やしていけば、腸内環境は良くなり、健康寿命は伸びてきます。
今回は、この3つの菌のうち、大腸の善玉菌のほとんどを占めるビフィズス菌の増やし方について解説します。ぜひ参考にされてください。
~ビフィズス菌~
酸素が苦手なため、大腸に住み着いているのがビフィズス菌です。ビフィズス菌の得意分野は整腸作用です。下痢や便秘などの便通異常を治すのがビフィズス菌の得意分野ということになります。
さらに、悪玉菌の増殖を防いでくれるのもビフィズス菌の役目と言えます。
ただし、ビフィズス菌は加齢とともに減ってきますので要注意です。
60歳を過ぎると、ビフィズス菌は腸内細菌全体の1%未満まで減ると言われていますので、特に何も対策を立てていないと、ビフィズス菌はどんどん減ってきます。
もちろん、どの年代からでもビフィズス菌を増やすことは可能ですので頑張りましょう!
それでは、どのようにしたらビフィズス菌は増えるのでしょうか?
ビフィズス菌は水溶性食物繊維とオリゴ糖が好物になります。
水溶性食物繊維は以下です。
①海藻類
わかめ、昆布、海苔、ひじきなど
②きのこ類
椎茸、しめじ、えのき、なめこなど
③豆類
納豆、豆腐など
④穀物類
もち麦、玄米など
⑤野菜類
ブロッコリー、ごぼう、にんじん、大根など
⑥果物類
りんご、バナナ、アボカドなど
オリゴ糖を豊富に含む食べ物は以下になります。
①豆類
大豆、きなこなど。
②野菜類
ごぼう、玉ねぎ、ブロッコリー、トマト、アスパラガスなど。
③果物類
バナナ、りんご、キウイ、桃、スイカなど。
これらをきちんと摂ればビフィズス菌は自然と増えてきます。
また、ビフィズス菌は酸素が苦手なため、食べ物の中に含まれることが少なく、一部のヨーグルトに含まれている程度です。
ただ、最近ではビフィズス菌が入った整腸剤があります。
ここでよく質問されるのが
「乳酸菌が死菌でも効果があるのは良く分かる。乳酸菌は免疫力アップが主な役割なので、死菌でも免疫力のスイッチを押してくれる。
ただ、ビフィズス菌は整腸作用が主な役割であるため、生きた菌を腸に届けないと意味がないのではないか?」
です。
答えは、「ビフィズス菌は死んだ菌でも一定の効果がある」です。
確かに、市販されているビフィズス菌入りの整腸剤は、生きたビフィズス菌を使っています。しかしながらビフィズス菌は胃酸に非常に弱く、すぐに死んでしまいます。生きたビフィズス菌を使った整腸剤が食後投与であるのは、食べ物を食べることで胃酸が薄まるためです。
しかしながら実は死菌であるビフィズス菌でも有効であるという報告があります。
その報告では、死菌のビフィズス菌を摂取すると、腹痛、腹部膨満、排便習慣が34%も改善したとのことです。
Andresen V,et al:Lancet Gastroenterol Hepatol,5:658-666,2020
そうであれば、ビフィズス菌も整腸剤がある程度効果があるということになりますので、それならできるだけビフィズス菌の菌数が多い整腸剤を飲むと良いのではないでしょうか。
いかがだったでしょうか。
自前のビフィズス菌を増やすために、ぜひ参考にされてください。
それでは今週も頑張りましょう。クリニックでお待ちしております。