おはようございます。医師の秋山です。
さて、今回は「がん」について勉強していきましょう!
患者さんと診療中に話をしていると、よく
「がん家系なので心配です」
という言葉を聞きます。
「がん家系」ってよく耳にしませんか?
がん家系=自分の親族、家族にがんになった人がいるので、自分も同じようながんになる可能性がある
という意味ですよね。
一般的に、がんを含めたあらゆる病気になるメカニズムとしては
①遺伝的要因;病気になりやすい体質的なものであり、親から受け継いだ先天的な要因
②環境的要因;生後の生活環境により、病気になりやすい体質に変わっていくものであり、自分の過ごしている環境、食べ物などに影響を受ける後天的な要因
基本的にはこの2つが揃うことにより病気が発生します。
(もちろん例外もありますが)
例えば、「ある病気」になりやすい体質を親から受け継いだとしましょう。
これだけでは「ある病気」にはかかりません。
生まれた後に育ってきた環境や生活習慣が大きな影響を及ぼすことにより、「ある病気」が発生します。
つまり、「ある病気」になりやすい体質を持った人が、「ある病気」になりやすい環境や生活習慣を送ることにより、「ある病気」になってしまう。
全てとは言いませんが、基本的に病気とはこんな感じで発生します。
そして、病気の種類により、①が影響を及ぼす割合、②が影響を及ぼす割合がある程度決まっていると言われています。
それでは、「がん」は①と②はどのくらいの割合で影響を及ぼしてるか非常に興味が湧いてきますよね。
おそらく、「がん家系」という言葉があるくらいですので、「がん」は遺伝的要因が高いと思っている方って多いのではないかと思います。
それでは、まずはここで遺伝の影響を受けやすい病気をざっと挙げていきたいと思います!
家族にこの病気の人がいれば、自分もその病気になりやすいんじゃないか、という病気です。
個人的にざっと思いつくものでいけば
心筋梗塞
糖尿病
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)
気管支喘息
といったところですね。これらは全て①の遺伝的要因が50%近くあると言われています。
それでは、「がん」は一体どれくらい遺伝の影響を受けるんでしょうか?
もちろん、「がん」の種類によって遺伝の影響を受けやすいもの、受けにくいものがありますが、おおよその平均値と思ってください。
実は、「がん」が遺伝の影響を受けるのは、平均すると約15%程度と言われています。
つまり、がんが発生するには①が15%、②が85%の割合ということになります。
巷で言われている「がん家系」であっても、その影響は15%程度であり、大部分が自分の生活環境が深く関わっているということになります。
意外ですが「がん」はどちらかというと、遺伝の影響は受けにくい病気の部類なんですね。
言い換えると、「がん」は「生活習慣病」という範疇に入ると言っても過言ではないです。
そうすると、「がん」は普段の生活習慣を改めることである程度予防ができる病気ということになります。
実はこれは科学的にも証明されています。
以前発表された、約8万人の日本人を対象とした報告です。
この5つの健康習慣を全て実践すると、がんになる危険性が男性で43%、女性で37%も低下するとのことです。
Sasazuki S et al,”Combined impact of five lifestyle factors and subsequent risk of cancer:the Japan Public Health Center Study” Preventive Medicine,54(2)112-116 ,2012
今や日本人の2人に1人がなんらかの「がん」になる時代と言われていますが、おそるに足らずです。
「がん」は生活習慣病と考え、上記のような5つの健康習慣をきちんと実践していきましょう!
それでは今週も頑張りましょう。クリニックでお待ちしております。