目指せ腸活マスター！整腸剤の菌って1種類でいいの？後編

おはようございます。医師の秋山です。

さて、前回のブログを続きを解説したいと思います。今回は後編です。

整腸剤の菌を摂るには、

「小腸に住み着きやすい菌と、大腸に住み着きやすい菌を摂ると良い」

と前回説明したと思います。

小腸に住み着きやすい菌の代表と言えば・・・乳酸菌でしたよね。

乳酸菌は酸素がある小腸によく住み着いていると言われています。

乳酸菌を含む食べ物や整腸剤って沢山ありますよね？

それは、酸素下でも生きることができるからなんです。

もちろん、乳酸菌だけでもさきほど上げたような効果を期待することができます。

ただ、腸内細菌って得意分野、不得意分野があるんですね。

それでは乳酸菌の得意分野って何かを言うと・・・免疫力強化です！

以前も説明したとは思いますが、小腸にはパイエル板という、免疫細胞の基地みたいな場所が無数にあります。

乳酸菌を摂ることにより、乳酸菌を作り出している核、線毛、細胞膜などの成分が、マクロファージや樹状細胞などの免疫細胞を活性化すると言われています。

もちろん、乳酸菌は乳酸を産生しますので、乳酸が体内で作用することにより、先ほど伝えてような効果も期待ができます。

ただ、一番の得意分野が免疫力強化という分野なんですね。

それでは次に大腸です。

大腸はほとんど酸素がありません。そんな大腸に沢山住み着いている菌の代表と言えば・・・ビフィズス菌です！

ビフィズス菌は酸素下で生きるのが難しいので、酸素が非常に少ない大腸に住み着いています。

酸素が苦手ですので、食べ物からビフィズス菌を摂取するのって難しいんですね。

そんなビフィズス菌の得意分野は・・・整腸作用です。

ビフィズス菌は、乳酸と酢酸を産生するのですが、これらが主に体内で作用します。

これにより大腸内の腸内環境が良くなり、下痢や便秘などの症状を改善させます。いわゆる整腸作用ってやつですね。

ここでいつもよく聞かれるのが

「乳酸菌が死菌でも効果があるのは良く分かる。乳酸菌は免疫力アップが主な役割なので、死菌でも免疫力のスイッチを押してくれる。

ただ、ビフィズス菌は整腸作用が得意分野であれば、生きた菌を腸に届けないと意味がないのではないか？」

といった類の質問です。

答えは、「ビフィズス菌は死んだ菌でも一定の効果がある」です。

確かに、市販されているビフィズス菌入りの整腸剤やヨーグルトは生きている菌と謳っています。

しかしながらビフィズス菌は胃酸に非常に弱く、すぐに死んでしまいます。生きたビフィズス菌を使った整腸剤が食後投与であるのは、食べ物を食べることで胃酸が薄まるためです。

それでも結局はほとんどが死んでしまいます。

しかしながら実は死菌であるビフィズス菌でも有効であるという報告があります。

その報告では、死菌のビフィズス菌を摂取すると、腹痛、腹部膨満、排便習慣が34%も改善したとのことです。

Andresen V,et al,” Heat-inactivated Bifidobacterium bifidum MIMBb75 (SYN-HI-001) in the treatment of irritable bowel syndrome: a multicentre, randomised, double-blind, placebo-controlled clinical trial” Lancet Gastroenterol Hepatol,5:658-666,2020

つまり、ビフィズス菌を生きて腸まで届けなくても、整腸作用はあるということになります。

それならできるだけビフィズス菌の菌数が多い整腸剤を飲むと良いのではないかというのが私の個人的な見解です。

いかがだったでしょうか。

整腸剤は今やたくさんドラッグストアに並んでいます。整腸剤のサプリメントを選ぶ時の参考にしていただければと思います。

それでは今週も頑張りましょう。クリニックでお待ちしております。