おはようございます。医師の秋山です。
さて、今回はお酒と腸の関係の話をしたいと思います。

お酒って腸にどのような影響を及ぼすのでしょうか?
なんとなく、飲み過ぎたら腸に悪影響を及ぼしそうなイメージがありますよね。
飲み過ぎると次の日に下痢してしまったという経験ってあるのではないでしょうか。
イメージの通りで、お酒の飲み過ぎは腸内環境が悪化すると言われています。
お酒が腸に悪影響を及ぼす原因はいくつかあるのですが、大きな原因として、アルコールによって腸の粘膜がダメージを受けたり、腸内細菌のバランスが悪くなってしまうからなんです。
正確には、アルコールを分解した時にできるアセトアルデヒドという物質が悪さをします。
お酒を飲み過ぎると次の日に二日酔いになる人がいますよね?これはアセトアルデヒドの影響なんです。
このアセトアルデヒドは大腸粘膜に蓄積しやすいと言われています。
そして大腸粘膜に蓄積したアセトアルデヒドにより腸粘膜がダメージを受けて、腸漏れを起こしたり、腸内環境が悪くなるというわけです。
なるほど、それならお酒を毎日飲まなければ大丈夫なのでしょうか?
実は、そうでもないようです。
アルコールにより、腸がダメージを受けて腸漏れを起こすのですが、この腸漏れは数日から1週間くらいは続くという報告があります。
Jung F,et al,” Markers of Intestinal Permeability Are Rapidly Improved by Alcohol Withdrawal in Patients with Alcohol-Related Liver Disease” Nutrients, 2021 May 14;13(5):1659. doi: 10.3390/nu13051659.
そしてさらに、アルコールにより、腸内環境は悪化すると言われています。具体的には、善玉菌である酪酸菌が減り、悪玉菌が増えてしまうんです。
そしてこの腸内環境の悪化は、禁酒後2週間経過しても改善せずに続いているケースが多いということです。
Ames NJ,et al,” Longitudinal gut microbiome changes in alcohol use disorder are influenced by abstinence and drinking quantity” Gut Microbes. 2020 Jul 2;11(6):1608–1631.
以上より、アルコールによる腸漏れや腸内環境の悪化は、禁酒後3週間程度でようやく元に戻ることになります。
ここまでくれば、どれくらいのアルコール量でこのような影響が出てくるのかが知りたくなりますよね。
これも論文報告があります。
Chancharoenthana W,et al,” Alcohol-induced gut permeability defect through dysbiosis and enterocytic mitochondrial interference causing pro-inflammatory macrophages in a dose dependent manner” Sci Rep. 2025 Apr 27;15(1):14710. doi: 10.1038/s41598-025-97593-0.
この報告によると、低用量のアルコール摂取(純アルコール量約20g以下)で腸漏れが先に起こり、高用量のアルコール摂取(純アルコール量約30g〜60g以上)で腸内環境が悪化してくるとのことでした。
缶ビール350mlで純アルコール量が14gですので、
1日2本飲む→腸漏れを起こす。
1日3本以上飲む→腸漏れに加え、腸内環境が悪化する(善玉菌が減って悪玉菌が増える)。
ということになります。
ということは、例えば週末だけ缶ビールを1日3本以上飲んだだけでも、腸漏れと腸内環境の悪化を引き起こし、しかもそれが完全に改善するのに3週間も禁酒しないといけないとういことになります。
ちょっと怖いですね。ちなみに私はたまの週末に缶ビールを1本程度しか飲みませんので、一時的に腸漏れを起こしている可能性はありますが、腸内環境までは悪くはなっていないということになります。
そしてその腸漏れは数日から1週間で改善するので、次の週末までには腸は元に戻ってます。
いかがだったでしょうか。週末しか飲まないからとついお酒を飲み過ぎてしまうと、腸漏れだけでなく悪玉菌まで増えてしまいます。飲み過ぎには注意しましょう。
それでは今週も頑張りましょう。クリニックでお待ちしております。