こんにちは、医師の中島です。
今回からは認知症を予防するための、中高年のための「睡眠の鉄則」についてお話しようと思います。
「春眠暁を覚えず」
これは中国唐代の詩人である孟浩然(もう・こうねん)の「春暁(しゅんぎょう)」という漢詩の冒頭部分です。
「春の夜は寝心地がよく、夜が明けたのにも気づかずに眠り込んで目が覚めない」という意味です。

春は、朝すっきりと目覚めない、日中に眠くなる、夜は寝つけないなどと睡眠の悩みを感じる人が多くなる季節です。
特に睡眠時間の長さについて気にされる方が多いようですが、実は、「8時間眠らなければ健康に悪い」というのは思い込みです。8時間睡眠は、一日の活動量が多い子供や若者には当てはまっても、中高年には当てはまりません。睡眠時間は加齢とともに短くなるのが自然だからです。
睡眠は体を休めるために必須なものではありますが、睡眠にも力、すなわち睡眠力が必要になります。
しかし、人間の睡眠力は加齢とともに落ちていくので、中高年になると長時間、寝続けることは難しくなります。
にもかかわらず、「できるだけたくさん寝よう」「健康のためには8時間寝ないと」となると、どうなるでしょうか。
眠れないのに布団に入り続けて、浅い眠りを繰り返しながら時間だけが過ぎていきます。この状態こそが睡眠の質を下げ、老化を進める最大の原因になっています。

上図を見てください。
これは北海道大学大学院の玉暖暁子教授が「睡眠時間の長さ」と「10年後の死亡危険率」の関係について調査したデータです。
ご覧の通り、睡眠時間7時間の人の死亡危険率がもっとも低く、8時間、9時間、10時間と睡眠時間が長くなるほど死亡危険率が高くなっているのがわかります。長く寝る人ほど寿命が短いということです。
中高年には、「8時間睡眠神話」が当てはまらないことが明らかですね。
反対に、6時間、5時間と短い人は、7時間の人と大きくは変わりませんが、さすがに4 時間を切ってしまうと一気に死亡危険率が高くなるので、極端な睡眠不足はやはり不健康です。
こうした睡眠時間が長くなっても短くなっても死亡しやすくなるという結果は、アメリカの研究でも多数報告されています。
睡眠時間は長過ぎても短過ぎても長寿につながらない、そして7時間以上長いよりは多少短いくらいがいいということは明らかのようです。
中高年にとって最良の睡眠時間は7時間前後と考えてよさそうですね。
いかがでしたか?
次回も引き続き、「睡眠の鉄則」についてお話ししようと思います。
週の中日ですね、一息ついて後半もがんばっていきましょう。