福岡天神内視鏡クリニックブログ

便秘シリーズ② 便秘と運動、マッサージ

おはようございます。

今回は便秘と運動、マッサージに関してお話しします。
運動と便秘には密接な関係があり、運動量の低下により便秘症の相対リスクが増加すると報告されています。

便秘症の原因には、「便を直腸まで上手く運べない大腸機能障害」と「肛門まで運んだ便を上手く排便出来ない直腸肛門機能障害」があります。このうち、運動量に関係するのは大腸機能障害です。
運動量が低下すると便を上手く出口まで運べなくなり便秘を来します。加齢とともに便秘になる方が多いのも、運動量の低下により大腸機能が低下したためと考えられます。

腹筋やウォーキングなどの定期的な運動を行うことで便秘改善が期待出来ますが、高齢者など定期的な運動が困難な方では、1日15分、週5回の腹壁マッサージが慢性便秘症の症状を軽減するという報告があります。

一般的に腹壁マッサージは、「のの字マッサージ」といわれる盲腸からS状結腸方向に腸の形を模してしごくマッサージが広く推奨されています。
しかし、日本人の約80%では下行結腸間膜やS状結腸の回転異常といった腸管の形態異常があるため、単純な「のの字マッサージ」ではそこまで効果は期待できないようです。

腸管の形態異常に運動不足が加わると腸管のねじれに便塊が引っかかりやすくなり、特に左側腹部~下腹部に腹痛を伴う便秘症を起こしやすくなると考えられています。
腸管のねじれに引っかかった便塊は、ただ単に腸管の走行に沿って押し出そうとしても上手く押し出せませんが、大腸を揺らし、腸管のねじれ自体を緩め、大腸を動かしてやると通過しやすくなります。
特に便が硬くなる下行結腸以降の大腸を揺らしてやり、便が大腸のねじれに引っかかるのを防ぐマッサージを定期的に行うのが有効です。

起床時や就寝時にそれぞれ1分ずつ、下記の方法でマッサージを試してみてください。
①仰向け(背臥位)になり膝を立てて腹筋の緊張を緩める。
②指が軽く腹壁に沈むくらいの力で腹腔内の結腸を揺らすイメージでマッサージする。
③S状結腸での便のつかえを取るために恥骨直上から臍までの下腹部を1分間優しく揺らすマッサージをする。

④排便で改善する左腹部痛がある場合は、左腹部を両手で挟んで1分程度交互に優しく揺らすマッサージをする。

便秘は食事や運動といった生活習慣の改善が第一歩です。

ゴールデンウィーク最終日ですが、福岡院は本日から診療再開しています。
お気軽にご相談ください。

癌にならない腸活 実践メルマガ講座 乳酸菌バナー 内視鏡チャンネルバナー

秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。