おはようございます。
逆流性食道炎シリーズ第25回です。
今回は逆流性食道炎の治療に用いられる消化管運動機能改善薬についてお話しします。
逆流性食道炎は胃酸が食道に逆流することで、食道の粘膜が傷つき、びらんやただれなどの炎症を起こしてしまう病気です。
当然、食道に逆流する胃酸の量が少なくなればなるほど、粘膜の炎症は起こりにくくなります。
そこで食道と胃の動きをスムーズにして食道に逆流しにくくすれば良いじゃんという発想で使われる薬が消化管運動機能改善薬です。
消化管運動機能改善薬は、食道の蠕動運動の機能を良くすることで食道に逆流した胃酸を胃に戻します。
また、胃の運動機能を改善させ、胃から腸への排出を促進することで胃酸の分泌量を減らす働きもあります。
食道や胃などの消化管の蠕動運動は副交感神経がコントロールしていますが、この副交感神経は神経伝達物質であるアセチルコリンの作用により活性化されます。
このアセチルコリンの分泌は、ドーパミンとセロトニンという物質が調整しています。
ドーパミンはアセチルコリンの分泌を減らし、セロトニンはアセチルコリンの分泌を増やします。
また、消化管にはその運動を調整するオピオイド受容体も存在します。
消化管運動機能改善薬は、これらの消化管を蠕動運動させるそれぞれのメカニズムに働きかけることで食道と胃の蠕動運動を改善させます。
消化管運動機能改善薬は、蠕動運動を調節しているどの部分に作用するかによって、次のような薬があります。
①ドーパミン受容体拮抗薬
ドーパミン受容体に結合してアセチルコリンの分泌を減らすドーパミンの働きを妨害することでアセチルコリンの分泌を増やし蠕動運動を改善させます。
次のような薬があります。
1)メトクロプラミド(商品名:エリーテン、プリンペラン)
2)ドンペリドン(商品名:ナウゼリン)
3)イトプリド塩酸塩(ガナトン)
②セロトニン受容体作動薬
セロトニン受容体に結合してアセチルコリンの分泌を増やし蠕動運動を改善させます。
次のような薬があります。
モサプリドクエン酸塩(商品名:ガスモチン)
③オピオイド受容体作動薬
オピオイド受容体に作用して消化管運動を改善させます。
次のような薬があります。
トリメプチンマレイン酸塩(商品名:セレキノン)
④アセチルコリンエステラーゼ阻害薬
アセチルコリンを分解するアセチルコリンエステラーゼという酵素の働きを妨害して相対的にアセチルコリンを増やし蠕動運動を改善させます。
次のような薬があります。
アコチアミド塩酸塩(商品名:アコファイド)
逆流性食道炎の治療の中心となる薬は胃酸分泌抑制薬ですが、これらの消化管運動改善薬を併用するとより効果を発揮します。
症状でお悩みの場合は、是非一度、ご相談ください。