福岡天神内視鏡クリニックブログ

便秘を考察する その21 下剤の功罪2

おはようございます。

前回に引き続き下剤の良い点と悪い点についてお話ししていきたいと思います

今回はいわゆる刺激性下剤の危険性についてお話します。

 

 

世の中に存在するクスリは、大きく分けると次の二種類のタイプに分けることができます。

①病気の原因を根本的に取り除き病気そのものを根治させることが出来るクスリ

②病気そのものを根治させられないが、症状を軽快させることが出来るクスリ

 

 

②の病気そのものは治せないけど、症状を軽快させることを対症療法といいます。

便秘に使用する下剤は、全てこの対症療法のクスリです

 

 

下剤を服用することで排便は得られますが、これは決して便秘が治っているわけではありません。

あくまでもクスリの力で強制排便させているだけです

 

 

これを続けていると、将来的に便秘を更に悪化させることに繋がります。

便を毎日出すことにとらわれて毎日下剤を連用することは止めましょう。

ただし、どうしても便が出せずに苦しいときにたまに服用して便を出すのは問題ありません。

下剤は、あくまでも急場の対処法として一時的に服用するだけにとどめましょう。

 

 

腸の働きのうち、排便に深く関与しているのが、腸の蠕動(ぜんどう)運動と直腸反射です。

腸の蠕動運動で便が直腸にまで到達すると、脳がこの刺激をキャッチし、便意として反応します。

人間はこの便意を感じるからこそ、トイレに行き、排便することでスッキリできます。

しかし、刺激性下剤の多くはこの腸のリズムを妨げることになるため、毎日服用していると自然排便が得られなくなってしまいます。

 

 

特にドラッグストアやインターネットで購入可能な下剤であるアントラキノン系の刺激性下剤の長期服用は要注意です。

健康な便意は、便が直腸に到達することで起こります。

しかし、アントラキノン系の刺激性下剤により得られる便意は、大腸のうち、結腸を刺激し、腸を強制的に収縮させることで起こります

この便意は当然、自然の便意とは異なるため、正常な排便過程をとらずにダイレクトに排泄される便が含まれるため、便は水っぽくなります。

また、腸の強制収縮により排便させるため腹痛が出現したり、排便後もスッキリ感が得られにくくなります。

 

 

刺激性によるこのような強制排便を繰り返すと、腸を自力で動かすことが次第に出来なくなります

さらに脳が直腸に到達した便を感じて指令を出すという連携も上手くいかなくなり、自然な便意自体を感じなくなり自然排便が出来なくなってしまいます

 

 

寝たきりになり手足を長く動かさないと筋肉が衰え、その部位が上手く動かせなくなります。

これを廃用性筋萎縮といいますが、下剤を乱用していると、肛門とその周囲の排便にかかわる筋肉が衰え、益々排便が出来なくなり便秘が悪化する事態に陥ってしまいます

 

 

便秘の多くは、慢性的な水分摂取不足、運動不足、食事や生活のリズムの乱れが原因です。

当てはまることはありませんか?

安易にクスリに頼るのでは無く、まずは、自身の生活習慣を見直してみましょう。

 

 

次回もいわゆる刺激性下剤の危険性についてお話ししたいと思います。

お悩みの方は、是非一度、ご相談ください。

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。