福岡天神内視鏡クリニックブログ

いきみが強いと…

みなさんこんにちは。

萱嶋です。

 

花粉の季節になりました。

体調はお変わりありませんでしょうか。

さて、みなさんは「直腸粘膜脱症候群」を知っていますか。

 

 

【概要】

粘膜脱症候群とは、直腸の粘膜が脱出することで、隆起性の病変や潰瘍性の病変をきたす良性の病気です。20~30代の若年者に多いとされます。

 

【原因】

通常、排便時には恥骨直腸筋が緩み、肛門が開きます。しかし粘膜脱症候群では、恥骨収縮筋が締まってしまう現象がみられます。いきみと筋肉がうまく連動しないことが、過度のいきみを誘発する要因であると考えられています。

また強くいきむことで骨盤内を支える筋肉は弱くなることがあり、粘膜脱症候群を発症しやすくなります。

粘膜脱症候群の方は、長年にわたる排便時の過度のいきみを習慣としていることがほとんどです。ずれ落ちた粘膜は傷を受けやすく、また本来の位置にないため血流も悪化して潰瘍が生じます。

また粘膜脱症候群に痔核を合併することもあります。

 

【症状】

排便時出血、粘液排出、残便感、肛門脱出、しぶり腹などの排便異常

 

【診断】

・大腸内視鏡検査

潰瘍性病変や隆起性病変、平坦病変と多彩な内視鏡像を示します。内視鏡診断に精通した医師でなければ、ポリープや癌と誤って診断してしまう可能性があります。

直腸特に歯状線直上の隆起性病変では,粘膜脱症候群を必ず念頭におくことが重要です。また、直腸の前壁病変,Houston弁上病変、輪状傾向のある病変も、粘膜脱症候群を疑う所見であり、我々内視鏡医として必須の知識です。

・病変部分から生検組織検査を行い、線維筋症という特徴的な所見が見つかれば確定診断がつきます。

 

【治療】

・保存的治療

排便習慣の正常化が重要です。過度にいきまなくてもスムーズに排便できるよう、生活習慣や食生活の改善、便秘薬の内服などが必要です。

 

・手術

肛門からの脱出や腫瘤性病変からの出血が高度な場合は、手術により切除することもあります。

 

・内視鏡治療

隆起性病変のある粘膜脱症候群に対し、内視鏡切除行うことがあります。

 

「直腸粘膜脱症候群」は、内視鏡診断に精通した医師でなければ、ポリープや癌と誤って診断してしまう可能性があります。

排便時出血、粘液排出、残便感、肛門脱出、しぶり腹などの排便異常がある方は、内視鏡診断にしたクリニックや病院で検査を受けましょう。

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。