おはようございます。医師の秋山です。
さて、今回は、乳酸菌の素朴な疑問についてお答えしたいと思います。
ヨーグルト、漬物、キムチなど様々な発酵食品に含まれる乳酸菌ですが、実はあまりその実態について知られていません。
そこで、乳酸菌に関する素朴な3つの疑問について解説したいと思います!
①そもそも乳酸菌ってなに?
乳酸菌とは、「糖を発酵して乳酸を作り出す菌」のことです。
しかしながら、乳酸を発酵する菌が全て乳酸菌に属するわけではないです。
例えば、ビフィズス菌や大腸菌までも乳酸を発酵しますが、これらは厳密には乳酸菌の仲間ではないです。
具体的には、その菌が発酵する産生物質の中で、乳酸を50%以上作り出している菌を乳酸菌と呼びます。
ビフィズス菌は60%が酢酸で、40%が乳酸を産生しますから、乳酸菌ではありません。
大腸菌はごくわずかしか乳酸を作り出しませんから、これも乳酸菌には入らないんです。
ちなみに、現在まで約400種類ほどの乳酸菌が発見されていますが、まだまだ未知の乳酸菌が存在すると言われてます。
②乳酸菌ってどんな味がするの?
乳酸菌が入っている発酵食品で有名なのは、ヨーグルトやキムチですよね。
ヨーグルトやキムチって酸っぱいイメージがありませんか?それがまさしく乳酸菌の味です。
厳密に言うと、乳酸菌が作り出す乳酸の味が酸っぱいんですね。
例えば、ヨーグルトを冷蔵庫でしばらく保存すると、酸味が増します。これは、乳酸菌が乳酸をさらに作っているからなんです。
ただし、これは生きている乳酸菌がいる証拠です。
よく、「乳酸菌が入った整腸剤はなんで酸っぱくないんですか?」と聞かれますが、これは整腸剤には死菌を使っており、死菌は乳酸を産生していないからです。
③乳酸菌って体の中でどんな作用をするの?
大きく2つあります。
A.乳酸菌が活動することで発揮される効果
乳酸菌が腸内で糖などの栄養を摂ると、乳酸、各種ビタミン、アミノ酸などの乳酸菌産生物質を産生します。この乳酸菌産生物質は数百種類も存在すると言われており、これにより、下痢や便秘を治す整腸作用、降圧作用、脂質代謝改善作用、抗菌作用などが期待できます。
B.乳酸菌の菌体成分による効果
乳酸菌を作っている細胞質、細胞壁、核などの成分が、薬の有効成分のように効いてきます。これらの主な作用の1つとして、免疫力増強作用、抗アレルギー作用です。
A.に関しては、生きた乳酸菌が乳酸菌産生物質を作ります。
B.に関しては、死んだ乳酸菌でも問題ありません。
ただ、死菌を使用した整腸剤でも、腸内の生きた乳酸菌を増やす作用がありますので、整腸剤でも間接的にAの効果を期待できるんです。
つまり、AもBも、発酵食品と摂ったり、整腸剤を摂ることによって効果を発揮しますので、乳酸菌の数が多い方がより効果を期待できるというわけです。
いかがでしょうか。乳酸菌の基本的な疑問について解説しました。皆さんぜひ参考にされてください。
それでは今週も頑張りましょう。クリニックでお待ちしております。