おはようございます。医師の秋山です。
皆さんはGWはどのように過ごされましたか?
私は、トライアスロンのために運動したり、読書をしたり、小旅行したりと充実した休日を過ごすことができました。本日からまたしっかり診療に頑張りたいと思います。
さて、今回は「腸内環境に影響を及ぼす栄養素」について解説します。
腸内環境に影響を及ぼすものってたくさんありますが、中でも「食べ物」が腸内環境に影響を及ぼしやすいです。
まあ、よく考えてみれば当たり前ですよね。腸内細菌は私たちが食べたものを栄養分にして生きてるわけですから。
それでは、我々が食べ物から吸収する栄養素のうち、腸内細菌に良くも悪くも一番影響を及ぼす栄養素はなんでしょうか?
それは「炭水化物」です。
炭水化物は「糖質」と「食物繊維」を合わせたものになります。
まず、「糖質」ですが、ブドウ糖や果糖などの糖質は摂り過ぎると吸収されずに大腸まで届き、これが腸内環境の悪化につながると言われています。
ある報告では、マウスレベルですが、高糖質な食事をわずか2日摂るだけで、短鎖脂肪酸の産生が低下し、腸漏れが起こるようになったとのことです。1)
1)Michael Laffin,et al:Scientific reports 9,12294,2019
糖質がかなり悪者みたいな印象になりますが、糖質の中でも腸内環境に良い影響を及ぼすのもあり、それはオリゴ糖です。
オリゴ糖は難消化性であり、ほとんど消化されずに大腸まで届きますので、血糖値はほぼ上昇しないと言われています。そして、オリゴ糖は大腸まで届いた後にビフィズス菌を始めとした善玉菌の餌になるんですね。
(ちなみに、オリゴ糖をたくさん含む食べ物といえば、ごぼうと玉ねぎです!)
対して、「食物繊維」についてですが、食物繊維は毎日しっかりと食べることで、腸内細菌の多様性が高まります。
実は、腸内細菌の多様性が高くなると、なんらかの原因で一時的に腸内環境が悪くなったとしても(例;感染性腸炎になったとか、抗生物質を長期間飲んだなど)、もとの健康だった頃の腸内細菌叢に戻る力が高いことが分かりました。2)
2)Frost F, et al:Gut,70:522-530,2021
そして、色んな種類の食物繊維を摂ることでこれらの効果はさらに上がるという報告もされています。3)
3)Ranaivo H,et al:Gut Microbes,14:2044722,2022
しかしながら私たちは糖質を過剰に摂取し、食物繊維の摂取が少ないのが現状です。
普段から意識して食物繊維を摂るようにしましょう。
そして人工甘味料についても少しだけ解説します。
糖質は一般的に空腸で消化吸収されますが、人工甘味料は人工的に作られた甘味料です。このため、空腸で吸収されず、そのまま大腸まで到達します。
大腸まで到達した人工甘味料が悪玉菌のエサとなり、悪玉菌が増え、腸の免疫バリア機能が低下し、いわゆる腸漏れをきたしてしまうと言われています。
皆さん人工甘味料の摂りすぎには注意しましょう。
福岡院は本日から診療開始です。よろしくお願いします。