こんにちは、医師の中島です。
前回、男性の更年期障害についてお話させていただきました。中高年の方のみならず若い人にもみられる心身の不調、特に自律神経の乱れについて正しく理解し、日頃から気を配っている人は多くはないように感じます。
昨今、現代人は様々な体調不良に悩まされています。だるさや疲労感、食欲不振や胃もたれ、便通異常、睡眠障害、メンタル面のトラブルなど。。
日常診療においても、検査で器質的な異常がないのに症状を認める方々が大変多くいらっしゃいます。
そして、その原因をたどると、ほとんどが「自律神経の乱れ」に行きつきます。
では、そもそも自律神経とはどのようなものでしょうか。
脳はご存じの通り、人体の司令塔です。脳からは中枢神経という神経の太い束が、背骨に沿って腰まで長く伸びています。そこから細かく枝分かれするのが末梢神経。全身に細かく張り巡らされる末梢神経には体性神経と自律神経の2種類があります。
体性神経が「筋肉を動かす」など、私たちがコントロールできる範囲の働きを司るのに対し、自律神経が司るのは体温調節や血流量、胃腸の運動など、自分の意志とは関係なく働く部分です。自律神経はこれらを随時調整し、身体を一定のコンディションに保ってくれているのです。
では、自律神経が「乱れる」とはどのような状態でしょうか。
自律神経には、交感神経と副交感神経があります。両者は「日内変動」というリズムに沿って、朝から日中は交感神経優位、夕方から夜中は副交感神経優位、と交替で活動します。交感神経が働くと血管が収縮して血圧や心拍数がアップ、胃腸の活動は低くなる「緊張モード」に。
副交感神経が働くときはその逆の「リラックスモード」になります。
この両方がしっかり働いて、かつ活動量のバランスが取れていれば理想的で、アクセルもブレーキもしっかり機能する車のように快調に過ごせます。
ところが現代人はストレスや生活習慣から交感神経にバランスが傾いているケースが大多数で、その結果として様々な不調をもたらしているのです。
今回は教科書的な内容でちょっと退屈だったかもしれません。
次回はさらに深掘りしていこうと思います。
週の中日ですね、一息ついて後半も頑張っていきましょう。