福岡天神内視鏡クリニックブログ

LG21の【静菌効果】を紐解く(ヨーグルト食べ比べ①)

おはようございます。医師の秋山です。

今回はLG21ヨーグルトの【静菌作用】について書きたいと思います。

正式な名前は「Lactobacillas Gasseri OLL2716株」と言います。

Lactobacillasの「L」とGasseriの「G」でLGというのだそうです。

LG21ヨーグルトを結論から言うと、

● 乳酸菌である

● ピロリ菌の【除菌効果】そのものはない

● ピロリ菌の数を減らし、ピロリ胃炎の活動性を弱める

● ピロリ菌の除菌成功率が上がる

● ピロリ胃炎の症状(胃もたれ・胃重感)を改善する

になります。

このヨーグルトは16年前に発売されました。

当時は一般的にピロリ菌【除菌】の保険適応がない時代でしたので、このヨーグルトの効果に興味を持ちました。

「ピロリ菌の【静菌作用】の効果がある」と書いてあります。

 

ピロリ菌の【静菌】とはどんな意味があるかと調べてみると、

1. ピロリ菌の数を減らすことができる。

2. ヘリコバクターピロリ胃炎の活動性を抑えることができる。

とありました。

ピロリ菌の数が減っても、根治治療にならないのならば意味がないのではないか。。。

その後の私は、あまりLG21に興味を持つことは最近までありませんでした。

除菌治療こそが、胃がんにならない一番の秘訣だと信じていたからです。

しかし、最近、ピロリ菌陽性者は2つに分かれるのではないかと思うようになりました。

それは

① ピロリ菌がいて、胃粘膜が発赤調で襞も太く、今にも胃がんが発生しそうな胃粘膜の人

② ピロリ菌がいるのに、特に胃粘膜の目立ったただれがなく、ただ胃粘膜が薄くなっている(萎縮性胃炎)だけの人

です。

①の人は胃がんのリスクが高く、②の人はあまり胃がんになることを見かけないのです。

上の写真は、50代男性のピロリ陽性胃炎の写真です。

①胃粘膜の発赤がありますが、襞は多少太い程度で、まだ胃がんのリスクがとても高いとは言えないと思います。

上の写真は20代女性のピロリ陽性胃炎の写真です。

年齢の割に発赤が強く、胃内に空気をいっぱい入れても襞も広がりにくいために、除菌をしなければ胃がんのリスクが高いグループに入ります。

この違いについては以前のブログに書きましたので割愛します。

ピロリ菌から胃がんに至る「本当の理由」

ピロリ菌は現在除菌適応がありますので、除菌治療薬を1週間飲めば一番胃がんの抑制効果があります。

抗生剤アレルギーや2次除菌まで不成功などの問題があり、ピロリ菌のことが気になっている方、胃がん発症が心配な方は、このLG21で「胃内環境」を整えておくことが良いでしょう。

どの整腸剤や乳酸菌も「継続する」ことに意義があります。

LG21ヨーグルトは毎日続けるのにはかなりコストがかかりますが、続けているだけの恩恵があると思います。

まとめ

1.胃がんの予防、胃がんで亡くなることを防ぐためには、保険適応であるピロリ菌の【除菌】治療を行うことは必須である。

2.1の前提をもとに、ピロリ菌除菌ができない、あるいは除菌が不成功であった場合、LG21ヨーグルトはピロリ菌の活動性を抑えて(【静菌】)、胃がんを予防することに有用である。

3.2の場合に、ピロリ菌の慢性感染のために引き起こされていた「胃もたれやシクシクした胃痛」のような症状も、【静菌】によって改善する可能性がある。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。