福岡天神内視鏡クリニックブログ

便秘を考察する その36 排出障害性便秘について

おはようございます。

前回までに、慢性便秘症のうち「けいれん性便秘」「腸管形態異常型便秘(ねじれ腸、落下腸など)」「直腸性便秘」について解説しました。

今回は「排出障害性便秘」について解説したいと思います。

 

 

排出障害性便秘は骨盤底筋強調運動障害による便秘です。

??難しいですね。

 

簡単に言うと、便が直腸までやってきているのに骨盤底筋の働きが悪くなっているため、便を排出することが出来ずに起こる便秘です。

排出障害性便秘は高齢者に多く、加齢に伴い男女ともに増加するタイプの便秘です。

 

 

骨盤底筋とは、その名の通り、骨盤の底にある筋肉の束です。

子宮・膣(女性のみ)、膀胱、尿道、直腸といった骨盤の中にある臓器をハンモックのように骨盤内で支える筋肉です。

骨盤内臓器を支えるだけで無く、排便や排尿といった排泄のコントロールをするという重要な役割も果たしています。

 

女性の場合、出産を経験し、更年期を迎えて女性ホルモンの分泌量が低下する頃から骨盤底筋群をはじめとした筋力の低下が始まるため、それをきっかけに排出障害性便秘を発症し易くなります。

骨盤底筋群の筋力の低下は腹圧性尿失禁、いわゆる尿漏れの原因にもなり得ます

 

 

直腸まで便が来ているのに便を出すことが出来ないという点では、直腸性便秘も排出障害性便秘は同じですが、その原因は異なります。

直腸性便秘は直腸が鈍感になったため、便意を感じることが出来なくなることが原因で排便障害が起こるのに対して、排出障害性便秘は便の排出をコントロールする筋肉が適切に働かないことが原因です。

 

これに加えて、便が硬い場合は、排出時の痛みや不快感を避けようとして肛門括約筋が収縮してさらに排便が抑えられて便秘が悪化します。

また、年を取って筋力が衰えたり、排便時にいきむ際の姿勢が取りづらくなったりすると、さらに便秘を来しやすくなります

 

 

【対処法】

このタイプの便秘は、専門病院や肛門外科クリニックで、バイオフィードバック療法(コンピュータやセンサーを使って、骨盤底の筋肉の締まり具合を確認しながら訓練する治療法)などを行い、骨盤底筋の筋力やコントロール力を回復させるトレーニングを行います

これに加えて肛門を締めたり、ゆるめたりする骨盤底筋体操も効果的です。

 

 

お悩みの方は肛門外科クリニックなどでご相談してみてください。

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。