こんにちは、医師の中島です。
先週の外来で、複数の患者さんから同じ質問がありました。
「昼食後に猛烈な眠気に襲われるんですが、何が原因でしょうか?」
「最近、疲れが取れなくてずっと身体がだるいんですが、悪い病気でしょうか?」
このような慢性的な不調に心当たりのある人は多いのではないでしょうか。
最近よく耳にする「糖質疲労」という言葉をご存知ですか?
医学的な病名ではありませんが、多くの人が抱える健康問題として近年注目されています。
主な症状は、食後の急激な眠気や倦怠感です。
その他、イライラや気分の落ち込み、頭痛、集中力の低下など精神的な不調を伴うことも少なくありません。
これらの症状は、特に糖質を多く含む食事を摂った後に身体の中で起きている血糖値の急激な変動が引き起こしています。
食事で糖質を摂ると血糖値が上がります。正常な範囲であれば問題ありませんが、血糖値が140mg/dLを超えるような「食後高血糖」が起こると、身体はそれを急いで下げようとして膵臓から大量のインスリンを分泌します。その結果、今度は血糖値が食前よりも低い水準まで急降下します(反応性低血糖に近い状態)。この血糖値の乱高下が「血糖値スパイク」です。
血糖値が急降下していく過程で、脳は「このまま下がり続けたら低血糖で動けなくなる」と危機感を覚え、「休め」「動くな」という指令を出します。これが、あの耐えがたい眠気の正体です。
人によっては、眠気ではなく強い空腹感を感じ、結果として不要な間食を摂ってしまい、肥満への悪循環へと入っていくのです。
また、血糖値の乱高下が自律神経のバランスを乱し、めまい、だるさ、集中力の低下などといった症状を引き起こします。
日本糖尿病学会のガイドラインでは、理想的な血糖管理は「高血糖や低血糖を避け、血糖変動を小さく保つこと」とされています。
問題は「糖質そのもの」ではなく、「血糖の乱高下」ということです。
そして、血糖値スパイクの悪影響は眠気や疲労感、肥満、糖尿病のリスク増だけではありません。
様々な「身体の老い」を引き起こします。
すなわち、昼食後の眠気は「老化の黄色信号」と言っても過言ではないでしょう。
次回、さらに深掘りしていきます。
週の中日ですね、一息ついて後半もがんばっていきましょう。